クリミナル・マインド

海外ドラマNAVI

WEEKLY NEWS

COLUMN/REPORT

ABOUT クリミナル・マインドについて

CATEGORY カテゴリー

WRITERS プロフィール

三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


5月13日(火)S8#19『タイムカプセル』

19

■タイムカプセルに入れられた生首
1988年。コロラド州のブロンソン・スプリングスは、「未来の町賞」に選ばれ、その記念として裁判所の前の広場にタイムカプセルを埋めた。それから25年。いよいよ、そのカプセルを開く式典が行われたその時、中から出てきたのはミイラ化した人間の生首だった。被害者はウェイド・バーク。当時23歳で、大学を出て、親の経営するカーペット会社に入社したばかりの青年だった。そしてその2日後、今度は元保安官補チャーリー・フィグの首なし遺体が発見された。なんと、チャーリーとウェイドの首を切り落としたのは、同じノコギリだった。

■未来の町の裏の顔
市民の不安に応えタウンミーティングが開催されるが、その夜、地元新聞の編集長ワンダ・サリヴァンが殺害され、やはり首が持ち去られる。ワンダはこの町が「未来の町賞」の候補にあがっているというスクープをとり、さらに新聞で「事件簿」コラムを連載。町で起きた警察沙汰を全て記事にすることで、当事者に恥をかかせ、町の浄化に貢献してきた人物だ。しかし麻薬撲滅に熱心だった彼女の家の庭から、大麻を植えた植木鉢が見つかる。さらに最初の被害者のウェイド・バークも優等生と見られていたが、実際には、ひき逃げ事件を含め大学時代に6回逮捕されているのを、父親が金を使ってもみ消していた。家族思いと評判の保安官補のチャーリー・フィグも、実際には二重家庭生活を行うなど、私生活にいろいろと問題を抱えていた。つまり清廉潔白な表の顔と、もうひとつ別の裏の顔を持つ人間が殺されていたのだ。

■プロファイル
犯人は45歳から55歳の屈強な男性。偽善者と思える相手を襲っている。ウェイド・バークは表彰もされる模範学生だったが、その裏で何度も法を犯してはもみ消していた。ワンダ・サリヴァンは麻薬撲滅運動に熱心だったが、自宅でマリファナを栽培していた。チャーリー・フィグも法の執行官という立場にありながら、2つの家族を持っていた。町が、「未来の町」として表彰されたのをきっかけに、犯人は偽善者を罰しようと決意。被害者個々人ではなく、町全体に復讐を仕掛けている。タイムカプセルが25年間開かれないのを承知で首を入れた、桁外れの忍耐力を持ち、犯行の前にも入念に計画を練っている。根気強く、完璧主義。仕事はおそらく長い時間をかけて1人で作業する職人系。タイムカプセルの秘密を自分しか知らないという満足感が支えに、殺人衝動をコントロールしてきた。しかし、カプセルが開けられた瞬間に、殺人者として覚醒。今は、この町をパニック状態に置いたままにしようとしている。首を切ったのには理由があり、次のメッセージを準備している。

■被害者同士の接点:レイプ事件
被害者の接点を探っていたガルシアは、ウェイド・バークが行方不明になる1ヶ月前にレイプ事件を起こしたことを突き止めた。しかしこの事件は、ワンダのコラムにも掲載されていない。そしてその際に現場に駆けつけた警官がチャーリー・フィグだった。さらに第4の犯行が起きるが、その被害者であるトッド・バッカスは、事件の目撃者であると推測される。ウェイドの父親はレイプ事件もまた、金の力でもみ消したのだ。やがて当時の捜査資料から、被害者がリーアン・ティプトンという16歳の少女であること。さらに資料から、犯人は取り調べの一部始終を留置場から目撃していたであろうことがわかる。その夜、留置場にいたのは、器物損壊で一晩泊められたトーリー・チャップマンだった。チャップマンは家具職人。そして彼の妻こそが、レイプ事件の被害者リーアン・ティプトンだった。彼女を救うのは自分しかないという妄想を抱いたチャップマンはウェイドを殺した後、偶然を装いリーアンに近づき、そして結婚したのだった。

■リーアンのもうひとつの顔
その頃チャップマンは、夫が事件の犯人であることに気づいたリーアンを拉致し、裁判所に向かっていた。リーアンはチャップマンの行動を止めようとして、彼に驚くべき真実を告白する。それは、リーアンとウェイドは実は恋人同士で、レイプも喧嘩が発端で起きたことで、父親に事実を知られるのを恐れたリーアンがレイプだと嘘をついた、というものだった。信じていたリーアンにも裏切られたチャップマンは、裁判所に並べた被害者の生首を彼女に見せ、その前で、彼女の首も切り落とそうとする。一方、BAUは事件の供述書からリーアンの嘘を見抜いていた。そして、チャップマンの作業場から彫刻道具や文字型を発見したロッシは、裁判所に胸像が並んでいたのを思い出す。チャップマンは裁判所にいるとの連絡を受けたホッチ、ブレイク、リードが現場に急行。間一髪のところで到着。チャップマンは自分は心神喪失を理由で釈放される、もし釈放されないとしても、何年かかってもまた出てくると宣言し、BAUに投降する。

【格言】
「記憶とは何かが少なからず起きたときに残るもの」マルタ島出身の医師で作家のエドワード・デ・ボノ(1933年5月19日-)の言葉。既成の理念や概念にとらわれずに物事を解決する思考方法である「水平思考」の提唱者として知られる。
「現在も未来もない。あるのは過去だけ。それが今、何度も繰り返されているのだ」ノーベル文学賞も受賞したアメリカの劇作家ユージン・オニール(1888年10月16日-1953年11月27日)の言葉。

【インターバルの長いシリアル・キラー】
「縛るbind」「拷問torture」「殺すkill」の頭文字からBTKと自称したデニス・レイダーは、1974年にカンザス州のウィチタで一家4人、3ヶ月後に21歳女性を刺殺、それから3年沈黙し1977年に活動再開2件の殺人を犯したが、その後再び沈黙。2004年に、1986年、1997年に殺人を行ったという声明を新聞社に送り、そこから足がついて逮捕された。“ミルウォーキーの食人鬼”ことジェフリー・ダーマーは、1978年の最初の犯行の後9年間沈黙、1987年からは立て続けに犯行を行った。キーストン・キラーはシーズン1の15話「蘇ったシリアル・キラー」に登場した殺人鬼。初期の犯罪から18年のインターバルをおいて、犯行を再開した。ゾディアックは1968年から1974年にかけて5人を殺害(自称37人)。その後、犯行が止まっている。

【BGM】
エンディングで流れるのは、2005年にデビューしたアメリカのシンガー・ソングライターDrew Holcomb and the Neighbors のTOMORROW。2013年のアルバムGood Lightに収録されている曲。美しいメロディーと語りかけるような歌い方で、わたしたちはいつも明日を待っていると歌っている。

2014.5.13|エピソード・ガイド|コメント(1)トラックバック(0)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/503483/59631048

この記事へのトラックバック一覧です: 5月13日(火)S8#19『タイムカプセル』:

コメント

今回のエピソード、真実に勝るものは無いのだな・・・とあらためて考えさせられました。

チャップマンはきっと、リーアンの件を、殺人を犯す言い訳にしたかっただけですよね。リーアンの件が無くてもきっと、「自分にとっての正当な理由」を捻り出して、殺人を犯したでしょうね。

「辛抱強いシリアルキラー」が釈放されないことを切に願います。

投稿: ままん♪ | 2014年5月14日 (水) 09時06分

コメントを書く