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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


3月25日(火)S8#12『ツークツワンク』

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■謎の電話
リードとメイヴが定期連絡を取り合う日曜日。リードが、いつものように公衆電話でメイヴからの折り返しを待っていると、「アダム・ワース」と名乗る人物からコレクトコールが入った。電話の相手は、変声機を通した声で「ツークツワンク」とだけ告げ、一方的に電話を切った。アダム・ワースはモリアーティ教授のモデルで、「ツークツワンク」はチェスで身動きすると詰んでしまう状況を指す。リードはメイヴがストーカーの手におちたこと、そして電話は、犯人からの「降参か、死を覚悟でつづけるか」というメッセージだと確信。ホッチとBAUに助けを求めた。

■メイヴの婚約者
リードはメイヴの顔も本名も知らなかったが、やがてガルシアの調査で、彼女はメンデル大に務めるメイヴ・ドノヴァン教授で、10ヶ月前から大学は休職中であること、両親が買った倉庫に隠れ住んでいることが判明する。モーガンとJJが向かったメイヴのロフトには、誰かと争った様子が残されているが、押し入った形跡はない。警戒していたにもかかわらず犯人はなんらかの方法でメイヴの警戒を解いて、ドアを開けさせたと考えられた。また両親への事情聴衆で、メイヴに婚約者がいたことがわかり、リードは動揺する。そしてその婚約者ボビーこそが、メイヴと待ち合わせたレストランで、リードが疑いの目を向けた男であった。しかしボビーは、メイヴから突然婚約を破棄されたために彼女のことを心配し、様子を見に行っただけだし、自分もストーカーに狙われていたと語る。

■犯人は女だ!
ガルシアとJJは、ストーカーがメイヴの顔を塗りつぶした道具がアイライナーなのに気付く。犯人は女なのだ。変声機を通して電話をかけてきたのも、メイヴにドアを開けさせたのも、女なら説明がつく。リードはボビーの新しい恋人ダイアンが、初対面のはずの自分を「ドクター」と呼んだことを思い出す。犯人は彼女だったのだ。しかし捜査陣がボビーの家にとってかえしたときには、そこは既にもぬけの空で、争ったあとが残されていた。冷静に分析できなくなっているリードは、ブレイクと共に公園にでかけ、チェス盤と向かいあいながら認知面接を受け、メイヴと交わした会話を分析。リードは、犯人は博士になれない人物で、メイヴに論文をボツにされたために逆恨みしていると推理する。やがてガルシアの調査で、メイヴが論文を審査したダイアン・ターナーという名前が浮上。「自殺患者における自発性細胞死について」という論文を提出していたことがわかる。

■ふたりでなら……
ダイアンはボビーを拉致するが、メイヴが愛している相手はリードの方であることを知る。メイヴから全てを奪い取り、自分の有能さを証明しようとしていた彼女は、用のないボビーをあっさり殺害。その後、メイヴを屋上に連れだして飛び降りろと命じる。自殺を促すダイアンの発言を聞き、メイヴは彼女の論文を思い出した。メイヴは論文の瑕疵を指摘するが、ダイアンは聞く耳を持たない。その頃、ダイアンの自宅に着いたリードは、部屋の監視カメラに向かい、「彼女と代わりたい」というメッセージを提示。ダイアンはメイヴと無理心中しようとしている。それを阻止する方法は、ダイアンをメイヴと同等に認められる存在として扱うしかなく、そのためにリードはダイアンに「愛してる」と言うつもりだった。こうしてメイヴとダイアンの元に辿り着いたリードは、ダイアンの論文を褒めちぎる。リードの言葉にダイアンの自尊心はくすぐられるが、しかし、リードと唇を重ねた瞬間に嘘に気づく。そしてダイアンは、メイヴを道連れにして、拳銃自殺をとげる。血だまりの中に斃れたメイヴを見つめ、リードはただ、泣くことしかできなかった。

【格言】
「深く愛されれば人は強くなり、深く愛すれば人は勇敢になる」老子の言葉。67章の「慈じはもって戦えばすなわち勝ち、もって守ればすなわち固し」の英語意訳だ。

【ゲストスター】
メイヴは前にも紹介したが、『レバレッジ 詐欺師たちの流儀』の泥棒パーカー役のベス・リースグラフ。ダイアンを演じているのは『ゴシップガール』のジョージーナ・スパークス役でもとばしてたミシェル・クリスティン・トラクテンバーグだ。

【ジョセフ・ベルとアダム・ワース】
リードが使っていた偽名ジョセフ・ベルは、コナン・ドイルの医学生時代の恩師でホームズのモデルとされている人物の名前。ベルは病気の診断には観察力が重要だと学生に説き、患者の外見から職業や家族構成を言い当てて学生らを驚かせた。一方のアダム・ワースはモリアーティ教授のモデルと言われた稀代の大泥棒。ゲインズボロが描いた肖像画「デヴォンシャー公爵夫人」を盗み出したことで知られ、ベン・マッキンタイアー『大怪盗―犯罪界のナポレオンと呼ばれた男』に生涯が詳しく書かれている。

【ツークツワンク】
チェスの主に終盤の局面で発生するもので、相手から直接狙われていないにもかかわらず、自ら状況が悪化する手を指さざるを得ない、動くとチェックメイトで負けてしまうような状況を指す言葉。ドイツ語を語源とする。チェスにはパスというものが存在しないので、悪い結果が見えていようと、動かざるを得ない。チェス用語が転じてゲーム理論の用語としては、「手番であることでゲーム結果が悪化する」場合を指す。

【ロザンナ・アークエット】
祖父はコメディアンで、父と3人の兄弟と妹が俳優という芸能一家の長女。『マドンナのスーザンを探して』や『800万の死にざま』などに出演、女優の素顔を多数おさめたドキュメンタリー映画『デブラ・ウィンガーを探して』で監督としてデビューした。TOTOの「ロザーナ」は、彼女がキーボードのスティーブ・ポーカロと交際していた頃の曲で語呂がいいので名前は使ったが、実際にはロザンナ・アークエットをイメージして作ったわけではないと語っている。一方ピーター・ガブリエルの「君の瞳に」(In Your Eyes)は、ガブリエルとロザンナが同居していたときに作られた曲だ。

【ペンローズの三角形】
1950年代に数学者ロジャー・ペンローズが「不可能性の最も純粋な形」として発表し、広く知られることとなった通常の3次元空間では作ることのできない図案。文章で説明するのは難しいが、エッシャーの「滝」のような不可能図形の基本的なもの。錯視によって作ることは可能で、オーストラリアのパースには見る方向によっては三角形に見えるオブジェが存在する。

【トマス・マートン】
メイヴがリードに渡したコナン・ドイルの『ジョン・スミスの物語』の見返しには、「愛することは人の宿命。ひとりでは見つけられない人生の意味も、ふたりであれば見つけられる」というトマス・マートンの言葉が記されていた。メイヴの「トマス・マートン」、「あなたがぜったいに奪えないもの」という最後の言葉が強く印象に残りますね……。

【BGM】
ラストシーンで流れるのは、英国のシンガー・ソングライター、リチャード・ウォルターズのINFINITY STREET。2011年にリリースされた EP盤YOUNG TREESの中の一曲。流れるのはこの曲の繰り返しの「わたしはいつもあなたのためにあかりを灯す」という部分。

2014.3.25|エピソード・ガイド|コメント(5)トラックバック(0)

3月18日(火)S8#11『転生』

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■背後からノミで一突き
アラバマ州の「第一の夜明け教会」の庭で、フロレッサことニーナ・スキナーが背後からノミで一突きされ殺害された。その2日前にはミシシッピ州ガルフポートの森でチャーリー・クレイトンが、同じく方法で殺害されている。いずれの遺体の周りにも大量のウジ虫が群がっていた。被害者は人種、年齢・性別・経済状態などが異なるうえに、接点もない。またフロレッサは6年前に入信して以来、信心深い生活を送っており、外部の人間との接触はまったくなかった。やがてチャーリー・クレイトンの自宅周辺で聞きこみを行ったロッシとモーガンは、クレイトンのことを「テイラー」と呼び彼を探していた人物がいたことを突き止め、目撃者の協力を得て人相書も作成する。

■ウジ虫の謎
死体の周囲にいたウジ虫は生後3日。遺体はまだ腐敗前であるため、犯人がわざわざ遺体の周辺に撒いたとしか考えられない。また、どちらの被害者の口からも木の欠片が発見されており、犯人は猿轡のかわりに木片を咥えさせたと考えられた。手口は1967年から87年にかけ、南部で娼婦8人を殺したシリアルキラー、ラッセル・スミスと同じだ。しかしスミスは射殺されているため、模倣犯の犯行と見られた。そして、フロレッサが殺された翌々日、今度はフロリダで事件が発生した。殺されたのはダイナーの店員のブリアナ。車の中で殺され、やはり車内には大量のウジ虫が撒かれていた。同僚の証言から、犯人はブリアナのことを「キャロル」と呼び、誕生日サービスのデザートを要求、ブリアナが証明書を求めると逆上し「生まれた日のことを嘘をつくわけない」と叫んだということだった。

■輪廻転生
ダイナーの店員が、犯人の頬には似顔絵にない傷があったと証言していたことを思い出したホッチは、ラッセル・スミスの顔写真を取り寄せる。スミスの顔にはやはり、同じ位置に傷痕が存在した。犯人はラッセル・スミスになるつもりで、自ら、顔に傷をつけたのだ。やがて犯人が口にした名前「テイラー」や「キャロル」が、かつてスミスに殺害された被害者の名前であることが判明する。なんと、今回の被害者はみな、スミスが殺人事件を犯した日に生まれており、出生地も殺害場所と同じだった。犯人はスミスが殺した被害者が、その日に生まれた赤ん坊に輪廻転生したと信じており、被害者の周囲に撒かれたウジ虫は、被害者が再び人間に転生しないように、犯人が魂の器として用意したものだったのだ。

■さらなる転生を求めて

だとすれば、犯人は自分のこともラッセル・スミスの生まれかわりだと信じている。そう考えたBAUは、スミスが死亡した日に同じ場所で生まれた人物を調査、こうしてウィリー・ケスラーの名前が浮上。取り寄せたケスラー顔写真は人相書にそっくりだった。ケスラーは3ヶ月前に自動車の接触事故を起したが、輪廻転生した被害者が仕返しで車に細工したと考えたのだ。ガルシアは残り5人の被害者が殺された日に誕生した人物を22人ピックアップ。その中のひとり、テッド・シスラーは13年前にすでに死亡していたが、ホッチは、ケスラーがさらに次の世代を狙うと分析する。車の手配からケスラーの居場所を掴んだBAUは、モーテルに急行、そこで13歳のエイダン・ドナヒューを保護する。ケスラーはエイダンを殺すことができず、「20年後、殺しに戻る」と言いおいて去ったというのだ。ケスラー自身も転生しようとしており、転生する新生児を求めて病院に向かう――そう考えたBAUは病院に急行しケスラーを発見する。包囲されたケスラーは赤ん坊と銃を一旦床に置くふりをするが、銃を手にして反撃し、射殺される。今際の際にケスラーの目に入ったのは、撃たれたはずみで散らばったウジ虫の姿だった……。

【格言】
「人殺しは必ず幽霊を恐れる」アイルランド議会の議員で判事ジョン・フィルポット・カラン(1750年-1817年)の言葉。カトリック擁護派として合邦法(アクトオブユニオン)に反対した。
「魂は滅びないという教えは、慰めというより脅しである」アメリカの警句家メイソン・クーリー(1927-2002年7月25日)の言葉。

【リーマン予想】
リードが緊張をほぐすために解いているのは、ドイツの数学者ベルンハルト・リーマンが1859年に提唱した数学の予想。リーマン自身も証明することができず、未だに解決されていない。2000年にアメリカのクレイ数学研究所が100万ドルの懸賞金をかけた数学の未解決問題7つのうちのひとつ。

【BAUと謎の模倣犯】
事件が解決し、クワンティコに戻ってくつろぐBAUのメンバーをホッチが再招集。なんと昨日、ニューメキシコのラスクルーセスの砂漠で脚を切断し、別の脚を縫い合わせた遺体が発見されたのだ。先月もサイレンサー事件を模倣し、口を縫い合わせた遺体が発見されている。この一連の事件の犯人は、BAUが解決した事件を再現しているというのだ。ホッチは通常の事件と並行して、この事件を捜査すると宣言。ついに第一話からBAUを付け狙う謎の人物に焦点があたり始めました。犯人は何者なのか、そしてなぜBAUを見張っているのか……。今後の展開が気になりますね。

2014.3.19|エピソード・ガイド|コメント(2)トラックバック(0)

3月11日(火)S8#10『人形遣い』

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■箱詰めの死体
アリゾナ州ウィンズローで連続拉致殺人事件が発生した。一人目の被害者はブルース・フィリップス。3日前、金髪を黒く染められ、人通りの多い道端に置かれた箱の中から発見された。そして昨日、ジャスティン・マークスとコニー・フォスターのカップルが拉致され、今朝、ジャスティンだけが髪を黒く染められ、箱に詰められた状態で発見された。男性ふたりは年格好が似ており、また、遺体の首には幾度も吊るした痕があった。さらに検視によって、彼らの手足の関節が生きたまま外されていたことも判明する。やがて新たな拉致事件が発生する。被害者のバイロンは黒髪で本当のターゲットかと思われたが、やはりバイロンの遺体も箱詰めの状態で発見される。箱はまるで誰かへのプレゼントであるかのようにラッピングされており、被害者の掌と足に穴があけられていた。

■プロファイル
「犯人は男性。複雑な手口から見て年齢は30歳以上。妄想を実現するために、被害者の手足を引き伸ばすなどの拷問を繰り返し、男性の髪を黒く染めているが、妄想の実現は叶わずこれまでに3回失敗している。3人目の被害者は手足の穴は、磔にしたためにできたものと思われる。磔は重罪を犯した者への刑罰であることから、犯人は過去に被害者から不当な扱いを受け、審問にかけているつもりなのだろう。そして女性被害者はおそらく生かされて犯行を目撃しているか、参加させられている。犯人が求めるものを完成させるまで、犯行はエスカレートの一途をたどる」というのがBAUがまとめたプロファイルだ。しかしその後、検視によってバイロンは両腕にも索痕があるだけではなく、あごの関節も外されていたことが判明する。それを聞いたリードは、犯人は被害者を人間マリオネットにしているという仮説をたてる。両腕、あごの関節を外したは自由に操るため、手足に穴を開けたのは吊るためで、奇抜なメイキャップも説明がつく。さらに被害者の男性の体重が順を追って軽くなっているのは、人間マリオネットを吊り下げる道具が、男性の体重に耐えなかったからで、箱に詰めて遺棄するのはおもちゃ箱に入れているつもり、というのだ。

■人形遣い
モーガンとJJは、被害者が着せられていた服のタグを頼りに古着屋を尋ねるが、店長のタッカーに車で逃走されてしまう。そこに今度は親子連れが拉致されたという一報が伝わった。ホッチはガルシアに、この地域の人形遣いのリストから、父子絡みの事件に関係ある人物をチェックするように指示する。ガルシアは1950年代の後半に、人形遣いのアレックス・レインが、息子の目の前で強盗に殺害されたニュースを発見。さらに息子のアダム・レインは古着屋のタッカーの顧客であり、彼に頻繁に電話をかけていることが判明する。そして父親アレックス・レインは、「ミッチとステフ」という男女の人形の出し物で評判を呼んでいたが、その2体の人形、男のミッチは黒髪で女のステフは赤毛だった。BAUはアダムの父親が所有していた劇場へと急いだ。

■人形芝居「強盗」の開幕
アダムは交通事故で1年以上昏睡をつづけ、3ヶ月前に覚醒したが、頭部に受けた損傷が原因で、幼少期に遡って妄想が生まれた。アダムは、謎の人物「コンラッドさん」の助けを借りて、父親が殺された事件を人形芝居にしようとしていた。コニーをステフ、彼に危険を知らせにきたタッカーをミッチに、そして誘拐した父子に自分と父親を演じさせようというのだ。そしてついに満員の観客の前で人形芝居「強盗」の幕があがる。コンラッドさん演じる強盗に襲われた男の子は、マリオネットのミッチとステフに助けを求めるのだが……。芝居が佳境に差し掛かったそのとき、劇場にBAUが到着。ホッチは、人間と人形の区別がつかないアダムに、人形は生きていないのだと説得。こうしてBAUは父子とコニー、タッカーを救出した。コンラッドさんも客席を埋め尽くす観客も、アダムの妄想で、全ては物言わぬ人形だった……。

【格言】
「恋は目で物をみない、心で見るのだ」ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』1幕1場のヘレナの台詞。
「愛することは人の宿命。ひとりでは見つけられない人生の意味も、ふたりであれば見つけられる」アメリカのカトリック教会厳律シトー会(トラピスト)の修道司祭で作家トマス・マートン(1915年1月31日-1968年12月10日)の言葉。

【ゲストスター】
マシュー監督のエピソードは、毎回、配役にも工夫があって面白いのだが、今回もアダム役にブラッド・ドゥーリフを起用。ドゥーリフは1975年の映画『カッコーの巣の上で』のビリー役が高い評価を受けた個性派スターだが、『チャイルド・プレイ』で殺人鬼と人形チャッキーの声を演じて注目を集めた。

【マシュー・グレイ・ギュブラー監督作品】
S5#16『母の祈り』、S6#18『もう一人のプレンティス』、S7#19『悪魔の花嫁』と、毎シーズン恒例となったマシュー・グレイ・ギュブラー監督作品。ちょっとホラーがかった味付けがいかにもマシューらしい雰囲気。アダムの手の刺青のウサギのデザインもマシューによるものだそうです。

【BGM】
人間マリオネットのシーンで流れるのは、有名ロックアーティストの曲を子守唄にアレンジしたアルバムRockabye Baby!に収録されたPixiesのWhere is my mind?だ。

【リードとメイヴ】
メイヴはストーカーに狙われていて、変装しないと外出もできなかったのだが、2週間ほど前からメールも電話もかかってこなくなったという。ストーカーの心配がなくなったメイヴは、リードに気持ちを伝える。「会いたい」と。突然のことで動揺して言葉も返せないリードの様子に電話越しにメイヴが笑う。そしてエピローグ。それぞれの部屋で出かける支度をするリードとメイヴだが、どちらも襟元が決まらず、なんども鏡を見直す様子が微笑ましい。リードはメイヴへのプレゼントに用意した本にリボンをかけ、待ち合わせの店に出かける。しかしその店で自分の方ばかり見る男を見かけたリードは、メイヴに電話、ストーカーがいるから店に入らずに帰るように指示する。こうして、リードとメイヴは結局会えずに終わってしまったが、メイヴはお店のひとにリードへのプレゼントの本を託していった。その本はコナン・ドイルの『ジョン・スミスの物語』リードが用意したのと同じ本だった。そしてその本の表紙をめくったページにトマス・マートンの言葉が書かれていた。これまで横顔や後ろ姿しか見せなかったメイヴ。謎めいた存在でしたが、素顔は知的で素朴で、リードととても良く似た女性で一安心。ストーカーはリードの勘違いだったのか、気になりますね……。

【ジョン・スミスの物語】
リードとメイヴがお互いにプレゼントと用意したのは、まったく同じ本。アーサー・C・コナン・ドイルの『ジョン・スミスの物語』だ。この本、残念ながら日本では翻訳出版されていないが、コナン・ドイルが1983年に23歳で執筆した幻の処女作だ。ドイルはこの原稿を出版社との間で紛失し、後にもう一度書き直そうとしたが、完結させることはできなかった。死後、長らく原稿は行方不明とされていたが、2004年に大英博物館がオークションで入手。2011年10月に大英博物館はコナン・ドイル展を開催し『ジョン・スミスの物語』を出版した。痛風で動けなくなった中年男性が、自室から、自分の人生や身の回りの様々なものを記述するというものでミステリではなく、ホームズやワトソンも登場しない。

2014.3.12||コメント(5)トラックバック(0)

3月4日(火)S8#9『悪を聞き、悪を見る』

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■悪を聞き、悪を見る
シアトルで2日続けて刺殺事件が発生した。最初の被害者は28歳の青年のリンカーン・ベル、2人目は42歳の女性シンシア・ストローブル。殺害現場はいずれも自宅アパートで、部屋の壁には赤いペンキで「悪を聞き、悪を見る」という意味の通じないメッセージが残されていた。殺された2人は、人種、性別、年齢、居住エリアも異なる。シンシアの住居はセキュリティーが厳重で、リンカーンの住居はエレベーターもない6階にあり、犯人はそれぞれに侵入する知力も体力も持ち合わせている。また、被害者は共に、まず頸動脈と大動脈を切って確実に殺し後にめった刺しにされており、犯行には使命感と怒りが現れている。また検視の結果、殺害に使われた凶器が、半円型の特殊な形状の刃物であることが判明、リードは犯行が儀式的な意味合いを持つのではないかと推理する。

■自己啓発セミナー
当初は接点がないかと思われた被害者だが、やがて2人が、バリー・フリンの自己啓発セミナーの参加者であったことが判明する。フリンはネヴァダ出身で本名ハロルド・カーウィン。以前は車のセールスマンで、飲み屋でケンカを起こし暴行罪で逮捕されるなどの過去もあるが、あるときいきなり妻と別れ仕事もやめて砂漠暮らしをはじめた。そして3年、砂漠でひたすら瞑想して真の才能に目覚めた彼はバリー・フリンとなって、学校などで講演を開始。またたく間に信者が増えて、今やセミナーを開くと1000人会場が満員となるほどの人気ぶりだ。マネージャーの証言で、生きているシンシアに最後に会ったのはフリンであることは判明するが、肝心のフリンの行方はマネージャーにもわからなかった。やがてフリンの車がゲイバーの駐車場で発見される。彼がプライベートをひた隠しにしていたのは性癖のせいだったのだ。フリンは何者かに拉致されたらしく、車のそばには血痕が残されていた。

■プロファイル
「犯人はバリー・フリンの信奉者で、恋愛妄想に陥っている。犯人は男性で、犯行は忍耐力を要するため、年齢は30代から40代。独身で、社会的には未熟で、対人能力に欠けている。恋愛妄想を持つ者が暴力に訴えるのは、対象との仲を邪魔されたときである。最初の被害者2人は、フリンといるところを犯人に見られて嫉妬から殺されたか、もしくはフリンへの愛を証明するために殺されたかのどちらかだ。犯人がフリンに愛されていると思い込んでいる場合、現実でその関係を否定されると、フリンを殺すことでその絆を証明しようとする可能性がある。時間が経てば経つほど、現実と妄想のズレが露呈するので、急がなければ新たな被害が発生する」というのがBAUのプロファイルだ。ところがその後、新たな事件が発生する。3人目の被害者は、ジャネット・ドット。壁にはまたも、意味の通らない「赤を聞き、赤を見る」という言葉が残されていたが、ジャネットにはフリンとの接点がなかった。

■共感覚
犯人とジャネットは、いったいどこで知り合ったのか――。ジャネットの記録を照合したBAUは、彼女が度々電話をしていたルクソール銀行のコールセンターに、カール・フィンスターというフリンのファンの男性が勤めていたことを突き止める。カールは奇矯な振る舞いが多くさらに客を罵倒したために、4ヶ月前に解雇になっていた。カールの応対録音を聞いたリードは、「言葉を見れば本性がわかる」という彼の発言から、カールが言葉を聞くと色のついた文字が見える共感覚の持ち主なのだということに思い当たる。かねてより共感覚に悩まされていたカールは、ある日、フリンの自己啓発CDに触発され、才能を開花させようと決意。さらに色が善悪を表していると思い込んだ彼は、電話応対した相手の中から「悪者」を選び、それを順に始末していくことにしたのだ。カールはフリンを道連れにして次の標的であるハワード・ジェフソンの家に向かった。ところがそこにいたのはジェフソンから家を賃貸したコールドウェル夫妻だった。人違いにもかかわらず、殺そうとするカールを、フリンは賢明に止めようと説得する。しかし、カールの目には、フリンのその言葉が悪を意味する「赤」に見えた。フリンに対する不信感がいっきに募ったカールは、フリンに斬りかかる。そこに顧客リストから対象を絞り混み、ハワード・ジェフソンにたどりついたBAUが到着。カールを説得して投降させ、フリンとコールドウェル夫妻を救出した。

【格言】
「わずかな勇気の欠如が、多大なる才能の損失を招く」イギリスの文筆家、聖職者シドニー・スミス(1771年-1845年)の言葉。
「人間の存在の真髄は生き長らえることではなく、生きる理由を見つけることである」ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキー(1821年11月11日-1881年2月9日)の言葉。

【ゲストスター】
フリンを演じているのは映画『ザ・ラスト・エクソシズム』のパトリック・ファビアン。カールを演じているのはラファエル・スバージ。『堕ちた弁護士ニック・フォーリン』では同僚弁護士ジェイク、『プリズン・ブレイク』では悪役のラルフ・ベッカーを演じている。

【共感覚】
共感覚というのは、一つの刺激に対して通常の感覚だけでなく、異なる感覚が無意識に働く特殊な知覚現象のことを指す。たとえば、文字や音に色を感じたり、匂いや動きを感じたりする。今回のエピソードでは話している言葉が文字として認識され、それに色が見えるとちょっと複雑だが、共感覚の中でも文字に色が見える色聴が一番多く、音に色が見える、数字に色が見えるなども多数報告されている。ピアニストのエレーヌ・グリモーや、ビリー・ジョエルなど、音に色が見えると語っている。

【モーガンと父親の相棒】
殉職した父親の相棒だったジェイソンが、9.11の功績で英国大使館から勲章を授与されることになり、モーガンはパーティでのスピーチを依頼される。ガルシアは目ざとく招待状を見つけ、一緒に出かける気満々だが、モーガンは渋い表情で欠席すると言うばかり。ガルシアにはその理由がわからず、何度もモーガンから聞き出そうとする。事件解決後、モーガンはようやく重い口を開き、出席したくない理由を語りはじめた。モーガンはかつて殉職者の追悼式典で、父親のことを語るように依頼されたが、気持ちの整理がつかず、うまく語ることができなかった。だから、父親への気持ちを整理できないまま、それを差し置いて他の警察官を讃えることなどできないというのだ。頑なに主張するモーガンに、ガルシアはフリンのマグカップとCD、そして彼が事件解決のお礼にと貸してくれた車のキーを手渡す。ようやく出席を決意モーガンは、借りた高級車を飛ばして会場へ。スピーチに立った彼は、ジョークを交えて父親の思い出を語る。父への尊敬の思いを素直に語り、そしてその父が家族以外で一番大切にしていた親友のジェイソンを讃えたのだ。

【BAUを狙う謎の人物】
そのパーティの席で、モーガンが使ったグラスをジップロックに入れる謎の人物が登場。第一話から登場するBAUのメンバーの写真を盗撮している人物だが、それだけではない。彼はサイレンサーを真似て被害者の口を縫い閉じたり、神コンプレックスのジョン・ネルソンの犯行を真似て、被害者の足を切断したりしているのだ。果たして彼の狙いは何なのか。この連続エピソード、どうやらまだまだ続く模様です。先の展開が気になりますね。

2014.3. 5|エピソード・ガイド|コメント(1)トラックバック(0)


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