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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


5月14日(火)S7#19『悪魔の花嫁』

19

■悪魔教儀式?
元触法精神障害者施設聖ボールドウィンで、女性の遺体が発見された。被害者はエマ・ベイカー38歳。遺体にはルネッサンス風のドレスが着せられ、顔には不自然な白化粧がほどこされていたため、悪魔教の儀式が疑われた。現場のボールドウィンは98年に火事で東棟が焼けて閉鎖。その後、廃墟になり、壁は落書きだらけだった。やがて検視の結果、被害者の死因は、ドレスに染み込ませたニコチン系の殺虫剤による中毒死であることがわかる。死に至るまでには1時間程度を要したとみられるが、ドレスは併せの部分が縫いつけてあり、自分では脱げないようになっていた。しかも被害者の足には長時間水に入れられていたと思しき痕跡が見つかる。犯人は被害者を殺害前に水に浸けて拷問していたのだ。

■ドレスは誰が?
被害者が着せられていたドレスの布地は特殊なもので、ドレス自体もホームメイド。ただ縫い目が不揃いで、作業の質から、手が小さく、集中力のない、十代の少女が作ったと見られる。犯人は遺体を運んだ男性と、年下の共犯者の二人組みと考えられた。遺棄現場の壁の落書きを見ていたプレンティスは、その中に被害者の名前と数字を併記したものがあることに着目する。名前は「クリスティン、エマ、アリス」と続いていた。その後、空き店舗のフロアで新たな遺体が発見される。被害者の名前は「アリス」だった。遺棄現場の空き店舗の窓から外を見たロッシは、向かいの劇場がシェークスピア劇を上演予定であることに注目。犯人が着せたドレスが舞台衣装なのではないかと考えた彼は、劇場に出向いて調査する。結果、ドレスはなんと前年の秋に『ウィンザーの陽気な女房たち』で使用されたものにそっくりであることが判明。衣装が一点ものであることから、ロッシは劇団の関係者を調査するようにガルシアに指示する。

■プロファイル
さらにガルシアの調査で、先々月からクリスティン・トレスという名の女性が行方不明になっていることが判明する。落書きを再度調べたリードは、数字は誘拐した2日後で、さらにそれが悪魔教の生贄を捧げる祝日であることに気づく。悪魔教の次の祭日は2日後であり、生贄は今日、誘拐される。BAUは急ぎプロファイルを公表する。その内容は……「被害者の化粧や着せられていた衣装から見て、犯人は入り組んだ空想の世界で生きている。犯人の年齢は断定し辛いが、おそらく20代から30代。自分を悪魔のために働く特別な人間だと考えている。被害者を殺害する前には、数日間、水に浸けて苦しめている。慎重で我慢強く、想像力がたくましい人物だ。衣装からみて、歴史オタクかシェイクスピア・ファン。社会的に孤立した人間で、一見普通で警戒されない。犯行の原動力はあくまでも幻想と思い込み。女性または未成年の共犯者がドレスを縫っているが、これは必ずしも犯行のパートナーではなく、無理やり手伝わされているか、彼女自身が被害者の可能性もある」

■犯人は悪魔崇拝者ではなく……
やがてリードは被害者の状況と魔女裁判との類似に気づく。裁判では、魔女かどうかを水に沈めて判定していた。死ねば潔白、生き延びたら魔女なので死刑という、どちらにしても死しかない判定だ。この犯人は悪魔崇拝者ではなく、特定の誰かを守るために、悪魔と戦い、魔女を殺しているつもりなのだ。その夜、新たな行方不明者が出た。姿を消したのは27歳のサラ・ギャモン。クラブから姿を消したのだが、店の監視映像には彼女に話しかける青年の姿が写っていた。一方ガルシアは、劇場の衣装は、16年前に『ウィンザーの陽気な女房たち』に出演したケイト・ハリスという女優が寄付したものであることを掴む。ケイトは1988年、ボールドウィン病院の火事で死亡した患者のひとりだった。ケイト・ハリスの本名はキャサリン・ヒースリッジ。繊維会社の相続人で、精神疾患を抱えていたが、16年前に娘を身ごもったために薬を中断、劇場で錯乱し、他の女優を悪魔の妻だと思い込んで刺し、さらに劇場から逃げ帰った彼女は、悪魔に見染められないようにと娘の左腕を切落としたために、ボールドウィンに収容されたのだ。「キャサリンの死後、誰かがその使命を引き継いでいる」そう考えたBAUはヒースリッジ家を調査。父親は事故死しており、母親の死亡後祖父に育てられたが、昨年死亡。26歳のジェームズは3年前に神学校を退学、16歳のララは6週間前にハイスクールをやめていることがわかる。

■幻想の果て
ジェームズは、祖父の死後、ヒースリッジ館で母の幻影と語らいながら暮らしていた。母は彼に、妹のララを悪魔から守るように彼に言い遺していたのだ。ジェームズは拐って来た女性を水に浸け、蘇生すれば悪魔の妻として殺害していた。ところがサラ・ギャモンが蘇生しなかったため、ララが兄の間違いを非難し、警察に通報すると言い出した。動揺したジェイムズは、ララにニコチンの入った衣装を着せ、彼女を連れにくる悪魔と直接対決しようとする。そこにBAUが到着。ララは間一髪救助されるが、ジェームズはホッチと乱闘になり、井戸に転落して死亡する。

【格言】
「人は皆悪魔、われわれがこの世に地獄を作る」アイルランドの作家・戯曲家オスカー・ワイルド(1854年10月16日-1900年11月30日)による戯曲「パドヴァ大公妃」の一節。
「見るもの全ては夢のまた夢」エドガー・アラン・ポオの詩「夢の夢」の一節。1949年、ポォが謎の死をとげたその年に書かれた詩の最後の一節。詩全体は、まるで死を予期し、自分の人生をふりかえるような内容で、その最後をしめくくるのが、この、「全ては夢のまた夢」という儚さを憂うような言葉だ。全文は『ポォ 詩と詩論』福永武彦訳で読むことができる。

【ゲストスター】
ジェームズを演じているのはカイル・ガルナー。『ヴェロニカ・マーズ』のキャシディー・“ビーバー”・カサブランカス役や、『CSI:ニューヨーク』でマックの亡妻クレアの息子リード・ギャレット、そしてリメイク版の『エルム街の悪夢』でクエンティンを演じている。妹のララは『カリフォルニケーション ある小説家のモテすぎる日』でハンクの娘ベッカ役のマドレーヌ・マーティン。母親のキャサリンは『バフィー ~恋する十字架~』ドゥルーシラ役のジュリエット・ランドーが演じている。そして今回のスペシャル・ゲストはガスナー刑事を演じているロバート・イングランド。『エルム街の悪夢』の初代殺人鬼フレディや、『オペラ座の怪人』で知られるが、『V.』の心優しい宇宙人のウイリー役も印象深い。

【ペルセポネ】
ガルシアのPCの名前。ペルセポネはギリシア神話の春の女神で、大地の女神デメテルの娘。冥府の王であるハデスがペルセポネに一目惚れし、冥界へと連れ去ったエピソードで知られる。PCにつける名前としてはあまりピンとこないが、今回の悪魔の花嫁というテーマからの連想で用いられたのだろう。ただし、ハデスは冥府の王ではあるが、キリスト教的な悪魔とはまったく異なる存在である。

【元祖服を使った毒殺】
リードが生地屋で語ったギリシア神話のエピソード。ネッソスはケンタウロスで、ヘラクレスの妻デイアネイラにちょっかいを出したために、弓で射られて殺された。死ぬ間際にネッソスは、自分の血液が媚薬であるとデイアネイラに語る。後にヘラクレスの心変わりを恐れたデイアネイラはこの血液を衣服に湿布。これを着たヘラクレスは毒によって身体が腐り、命を落とした。

【マシュー監督作品】
毎シーズン、監督をしたいと語っていたマシュー・グレイ・ギュブラー。1シーズン5の6話『母の祈り』、シーズン6の18話「もうひとりのプレンティス」につづいて3度めの監督作品。マシューはこの後、シーズン8では10話と20話を監督、そしてなんとシーズン8ではホッチ役のトマス・ギブソンも14話で監督をつとめている。なお、マシューの公式HPでは、本エピソードのストーリーボードの写真なども公開されている。
【ウィンザーの陽気な女房たち】
ウィリアム・シェイクスピア作の喜劇。オペラ化もされており、『ウィンザーの陽気な女房たち』(1849年)など、たびたびオペラ化されている。ウィンザーにやってきたフォルスタッフは、既婚女性をたぶらかしてお金を手に入れようと、ふたりの女性に恋文を送るんだが、手抜きにもこの2通の手紙がまったく同じ内容。そのことを知った女性から、手ひどいしっぺ返しを食らうという内容。今回のエピソードから怖い話を連想しそうだが、痛快なコメディです。

【左手】
エピローグ。衣装を処分するララ。玄関の呼び鈴がなり応対しようと階下におり、そして玄関のドアノブに手を延ばす。ノブを回す手は左手。母親に切り落とされて、義手になっているはずの手だが、このシーンでは生身の手になっている。ドアの外には悪魔のシンボル。差し出された相手の手に、重ねられるララの手はまたも、生身の左手だ。

2013.5.19|エピソード・ガイド|コメント(4)トラックバック(0)

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コメント

ああ、三村さん、良かった。心配しておりました。これからも、記事を楽しみにしております。

最後のシーン、見間違い?アレ?と思ったのですが、やはり左手ですよね。なんとも、ホラーテイストに溢れた演出でした。マシューの次の監督作品が楽しみです。

投稿: ままん | 2013年5月19日 (日) 13時01分

私もホッとしました。ブログこれからも楽しみにしています。

投稿: しっぽ | 2013年5月19日 (日) 15時05分

安心しました。
待ったかいが、ありました。有り難うございます。

投稿: Lead | 2013年5月19日 (日) 22時47分

孫2人の私、いつも楽しみにしてます。
だんだん楽しみが、少なくなっていくんですよ。
また、よろしくお願いしますね。

投稿: ばあば。 | 2013年5月20日 (月) 20時48分

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