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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


1月22日(火)S7#3『抜け出せない迷宮』

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■早朝の凶行
ヴァージニア州シャーロッツヴィルのIT企業のシナロック社のオフィスに何者かが侵入、5人が銃殺、3人がナイフで刺殺される。現場に残された足痕から犯人は単独犯、犯行は用意周到で計画的だが、銃の弾切れで途中から凶器をナイフに代えるなど、その行動には一貫性を欠く部分もあった。現場の様子から犯行の目的は経営者のアダム・ワーナーで、顔見知りによる遺恨の犯行と見られたが、しかしその線からはなにも浮かんでこない。そこでBAUは、ワーナーが海軍出身で、シナロック社が国防情報局の仕事も請け負っていることから、軍隊時代に動機が隠されていると推測、30歳から40歳代の軍人に警戒するよう、捜査陣に呼びかける。

■両親を殺害
同日、マークとメアリーのドーラン夫妻が、クローゼットに入れられ、扉の外から射殺される。犯人は息子のルーク・ドーランだが、その後の調査で、彼が今朝、シナロック社に電話を入れていることが判明する。ドーランは海軍に13年間在籍した後に名誉除隊、現在はバイオテック企業で部長の職についている。シナロックでは働いていないが、ワーナーとは海軍で同僚だった。ドーランと殺された両親との関係は良好で、妻とは離婚しているが、それも1年前のことであり、それが犯行の引き金とは考えづらい。PTSDによる病的乖離による犯行が疑われるが、しかしドーランは精神を病んでいるにもかかわらず、敵に見つからないように行動するだけの思考力は持ち合わせているなど、理解に苦しむ部分が多い。

■ネイビーシールズ時代の特殊任務
やがてJJがペンタゴンから資料を取り寄せ、ワーナーとドーランがネイビーシールズに所属し、極秘任務に携わっていたことがわかる。しかしネイビーシールズは、肉体的にも精神的にも強靭で、PTSDに陥る危険のあるような者は入隊できないため、プロファイルの見直しを余儀なくされる。BAUは、アダム・ワーナーが2000年に勲章を受けていることから、事件解決の鍵を握る何かが、その年の任務「ドラドフォールズ作戦」にあると推測する。やがてドーランは、退役将軍のミルグラムを誘拐する。その際に彼は、「本物両親」「ドラドフォールズ」「ガスライティング」という言葉を口にしていた。そのことを聞いたリードは、ドーランが数日前に自動車で事故を起こした際に脳に損傷を受け、「カプグラ症候群」を発症。五感と感情中枢をつなぐ神経が分断される病気とネイビーシールズでの経験があわさって、家族がすり替えられるという妄想が生まれたと分析する。

■カプグラ症候群
JJが国防総省から「ドラドフォールズ作戦」の資料を取り寄せ、ロッシは退役軍人を装ってドーランと電話で接触を試みる。電話の発信場所にモーガンとホッチが急行、将軍は保護できたが、そこにドーランの姿はなかった。ロッシは将軍の誘拐は、妻子の居場所を突き止めてための作戦であり、ドーランはクワンティコに向かっていると分析。ロッシの予想の通り、銃と爆弾で武装したドーランがクワンティコに現れる。リードはドーランに、「カプグラ症候群」のことを説明、館内放送で妻と娘の声を聞いたドーランは、ロッシの求めに応じて武器を置き、投降する。

【格言】
「人は運命に囚われるのではない、人を捕らえるのは己の心だ」フランクリン・デラノ・ルーズベルト (1882年1月30日-1945年4月12日)の言葉。ニューディール政策で知られるアメリカ合衆国32代大統領(1933年-1945年)。39歳でポリオを発症(ギラン・バレー症候群との説もある)半身麻痺となり車椅子生活となったが、大恐慌から第二次世界大戦の激動の時代の大統領を4期努め、脳出血で急死した。
「人間は生まれるのも死ぬのもひとり。愛と友情によってほんのつかの間『自分はひとりではない』という幻想を抱くだけだ」オーソン・ウェルズ(1915年5月6日-1985年10月10日)の言葉。映画監督、脚本家、俳優。子供の頃から、演劇や詩作など、表現において非凡な才能を発揮した。監督作品としては『市民ケーン』、俳優としては『第三の男』の演技が高い評価を受けている。

【ゲストスター】
ドーラン役は『ザ・ユニット 米軍極秘部隊』のマック・ゲルハルト役のマックス・マティーニ。吹き替えもマック同様、加藤亮夫さんが演じている。

【カプグラ症候群】
精神疾患の一種で、家族や恋人など、よく見知った人物が、見知らぬ他人に入れ替わっていると感じてしまう現象を言う。そもそもは1923年にフランスの精神科医ジョセフ・カプグラらによって報告された。まったく別の姿に見えているというわけではなく、視覚と情動中枢の結合が脳の損傷などによって断絶され、姿を見ても情動が動かないことを合理的に解釈するために、その人物がすり替えられた偽者だと思い込んでしまうのだ。ドーランが両親を殺害するシーンで、ドーランは両親をクローゼットに閉じ込めているため、その姿は見えていない。ラジカセを大音量で鳴らしているのは、両親にそっくりの声が聞こえないようにするため、と思える。モーガンが例にあげる『ボディ・スナッチャー』は、1956年、1978年、1993年と3度映画化された作品。街中の人々の肉体が宇宙人に乗っ取られる話だ。

【ガスライティング】
不可解な事件を繰り返し起こし、対象者の心理を操って、被害妄想を拡大、現実を歪めていく手法のこと。映画の『ガス燈』から名付けられた。

【ローレン・バコール】
ガルシアがモーガンに言う「吹き方わかるでしょ? ただ、唇をすぼめて……」は、映画『脱出』(1944年)のなかでローレン・バコール演じる正体不明の女性が、ハンフリー・ボガート演じる主人公に向かって囁いたセリフ。バコールはこの映画がデビュー作で、当時19歳。上目遣いの表情と、ハスキーボイスが話題を呼んだ。

2013.1.22|エピソード・ガイド|コメント(1)トラックバック(0)

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コメント

本編を観終わって「ガスライティングって何だったのかしら?」と疑問が残っていたので、すっきりしました。イングリッド・バーグマンがアカデミー主演女優賞をとったあの作品からつけられた手法だったとは!ガルシアのローレン・バコールネタや、引用のオーソン・ウェルズと言い、今回のエピにはハリウッド黄金期の大物が散りばめられていたのですね(^^) 解説、ありがとうございました。

投稿: ままん | 2013年1月23日 (水) 08時02分

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