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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


4月26日(火)S5#14『仮面の男』

14

■詐欺から殺人へ
サンディエゴ支局のホワイトカラー犯罪課が数年来追っていた投資詐欺師、通称〝ウィリアム〟が、フロリダで詐欺のターゲットを殺害した。殺されたのは不動産業者のカーラ・マーシャル。先週、投資を打ち切って返金を求めようとしたが、相手と連絡がとれなくなっていた。そこで詐欺相談サイトに被害を訴えたところ、長年この犯人を追っていたゴールドマン捜査官の目にとまったのだ。ところがおとり捜査の準備をしている間にカーラは一人で犯人に会い、殺害されてしまった。この詐欺師は過去十数年、数十万規模の詐欺を繰り返しているが、しかしカーラはそれまでこの犯人がターゲットにしたような大富豪ではなかった。さらに詐欺師は通常、闘わずに逃げるものなのに、今回はそうしなかった。なぜ犯人はカーラをターゲットに選び、そして殺さねばならなかったのか……。
■破綻をきたした詐欺師
カーラの家に向かったモーガンは、そこにあったPCから、詐欺師が使用しウェブサイトを発見し、ガルシアに追跡を依頼する。あいにく、レンタルサーバの支払い記録は追跡出来なかったが、名前だけが違うページが他に9つあることを発見する。グラント・デール、ハンター・ポートランド、ヘンリー・モフェット、ランディー・サマーランド……。過去にこれほどの数の詐欺を平行して行っていたことはなく、どれもゴールド捜査官がはじめて見る名前だった。BAUは詐欺師は10個もの偽名使い分けるうちに、混乱が起き、精神が破綻したのではないかと分析する。やがて次の被害者が発見された。場所はフロリダ州フォートローダーデイル。ランディと名乗っていた詐欺師は、まず被害者の妻と懇ろになり、その後、被害者と商談を進め、酒を酌み交わし、契約寸前までいったにもかかわらず、何か不都合が起きて、そこで殴り殺したのだ。
■サンディエゴになにが?
犯人はカサノバ・タイプの詐欺師で金のために女性を誘惑する。複数の女性と見境なく関係を持ち、セックスを目的達成のための武器にしている。ナルシストで策略家で自己主張が激しい。多くの偽名を使用していたことが原因で、精神的に破綻をきたし、そのために自分を抑えられず暴力的になり、新たなストレスが加わると犯行に及ぶ――とBAUは犯人を分析。また膨大な過去の捜査資料から、犯人は全米各地を転々とし、14~18ヶ月で移動するのだが、唯一、サンディエゴだけは3年半いたこと。サンディエゴを境に被害者選択の方法が変化していることが判明する。さらに捜査を進めるうちに、犯人はこのサンディエゴで車をスポーツカーからSUVに、住居を単身者向けのマンションから庭付き一戸建てに住み替えていることがわかった。つまり、犯人はサンディエゴで家族を持ったのだ。
■詐欺師の妻
第3の被害者も、第2の被害者と同じフォートローダーデイルで発見された。リードは犯人が逃げることなく同じ場所で2件もの殺人に及んだことに着目。このエリアに家族が住んでいて、邪魔者を消しているのではないかと推測する。妻帯者の詐欺師は家や車など何もかも妻名義にすることがあることから、マイアミ在住の該当者をリストアップしていたが、その範囲をフォートローダーデイルに絞った。やがて、第2、第3の被害者が、最初に殺されたカーラの不動産販売の顧客であることが判明する。サンディエゴ以降、犯人はまず不動産業者の女性に近づき、その顧客リストからターゲットを物色してきたのだ。ガルシアは、車と家と不動産業をキーワードにリストを絞り込み、レベッカ・ホッジスという女性に行きついた。彼女にはウィリアムという名の夫と、サンディエゴ生まれの9歳になる息子がいた。
■破綻の果て
その頃、夫の行動に不審感を抱いたレベッカ・ホッジスは。夫の後をつけ、彼のターゲットの一人であるブルックのもとにたどり着いた。レベッカはブルックが夫の浮気相手だと思い、彼女に家族の写真をつきつける。しかしブルックも、ウィリアムの子供を妊娠しており、夫と別れようとしていた。そこに息子を連れた男が現れた。ふたりの女は「ビル」「ハンター」それぞれが知る名前で彼を呼び、ますます男は混乱を深める。そして、女たちから逃げるように、子供を連れて家の外にとびだしたところで、かけつけた捜査陣に取り囲まれた。男はホッチらの説得に応じ、子供を母親に渡したが、しかしその後、まるで武器を手にするかのようにポケットに手を入れ、ゴールドマン捜査官に射殺された。こうして詐欺師の本名すらわからないまま、事件は幕を降ろしたのだった。

【格言】
「私が持っているものが私を意味するなら、それを失ったときの私は何者だろう」エーリッヒ・フロム(1900年3月23日-1980年3月18日)の言葉。ユダヤ系ドイツ人で、社会全体に精神分析学の知見を応用した哲学者。引用は1976年に執筆された『生きるということ』の中の一節。
「人が人を欺くとき、なんともつれたクモの巣を張ることか」サー・ウォルター・スコット(1771年8月15日-1832年9月21日)の叙事詩『マーミオン』の一節。スコットはスコットランドの詩人で『アイヴァンホー』や『ロブ・ロイ』など歴史小説作家としても知られる。
【ゲストスター】
詐欺師役はヴィクター・ウェブスター。スポーツで鍛えた肉体がうりで、一流メンズブランドのモデルも勤めた俳優。「チャームド~魔女三姉妹」の天使のクープ、「ミュータントX」のブレナンなどで知られる。妻のレベッカ・ホッジスは、「X-FILE」のファイナルシーズンでモルダーが消えた後に登場した捜査官のモニカ・レイエス役、最近では「フラッシュ・フォワード」のリタ役がある。ゴールドバーグ捜査官は、「サックス・アンド・ザ・シティ」のスティーブ・ブレディ役で人気がでたデヴィッド・エイゲンバーグ。
【マドフ】
ゴールドマン捜査官が〝ウィリアム〟のことを説明するときに引き合いにだした「マドフ」とは、バーナード・L・マドフのこと。マドフは1060年に大学を卒業すると同時に、証券会社「バーナード・L・マドフ・インヴェストメント・セキュリティーズLLC」を起業、高配当によって業績を伸ばし、NASDAQの会長まで務めた。しかし実はマドフの行っていたことはいわゆるネズミ講で、実際には集めた資金を投資にまわすことなく、配当、償還は、後の投資家の資金でまかない続けただけだったのだ。被害総額は500億ドルにものぼると言われ、被害者はスティーブン・スピルバーグ監督や、ケヴィン・ベーコンといったセレブから、世界中の大手金融会社にまで及ぶ。

2011.4.26||コメント(1)トラックバック(0)

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コメント

今までとちょっと毛色の違った事件でしたね。
本名が分からないまま射殺・・・
なんだか哀れですね。
もちろん妻子のほうがかわいそうですが。
そういえば、エンドクレジットの声優のところで「犯人」ってなってましたね。
芸が細かい^^;

投稿: ルシル | 2011年4月27日 (水) 15時23分

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