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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


3月8日(火)S5#7『都会のヴァンパイア』

7

■犯人はヴァンパイア!
20歳のタラ・フェリスの遺体が、LAのフリーウェイで発見された。同一犯の犯行と思われる事件が、この2週間で3件起きており、いずれの被害者も若い女性で、性的暴行の痕跡はなく、首を絞められた後に、首に穿たれた穴から血を失っていた。傷はまるで、吸血鬼の牙の痕のようで、さらに傷口からは唾液が検出されていた。そして3人目の被害者であるタラの腕には「the liar(嘘つき)」という文字が書かれていた。しかし検視の結果、喉の穴は咬み傷ではなく、鋭い道具によってつけられていることが判明。唾液はそこを嘗めたことによって付着したのだ。そして翌朝、フリーウェイ沿いで、新たな血を抜かれた女性の遺体が発見され、胸元にはやはり「ザ・ライアー」というメッセージが残されていた。
■プロファイル
リードは犯人を吸血衝動を抱えたヴァンピリストだと分析。犯行の速度が速まっていることもあり、リードがまとめた精神病理学的観点からのプロファイルが警察で発表された。それは「犯人は超自然的な存在のヴァンパイアではなく、吸血衝動を抱える人物。最初に自分の血を飲んで味をしめ、リストカットの常習者であることが多い。また未成年のころより、動物殺しの常習者だが、目的はあくまでも血を手に入れることなので、拷問はしていない。人目を避けるために一軒家、それも手入れの行き届かない古い家に住んでいる。統合失調症を患っているため、家庭は崩壊、年老いた女性が世話をするために同居している。またこの手の病気は長く隠すことができないため、犯人が病んでいることを知ってる人間が必ずいるはずだ」というものだった。
■プロファイルと食い違う容疑者
やがて最初の3人の被害者が皆、「ダンテ」というミュージシャンの熱烈なファンであることが判明する。ダンテはヴァンパイアのようなパフォーマンスがウリで、さらに「ザ・ライアー」というのは彼の最新アルバムのタイトルだった。また第4の被害者エリン・ヒックマンは、失踪前夜、ダンテが主賓のパーティ会場にいたことがわかった。事情聴取のためにダンテの自宅に向かったモーガンたちはそこで、エリンの車を発見。彼の身柄を拘束する。しかし、ダンテの家は新しく、手入れの行き届いた豪邸で、プロフィルとはまったく合致しない。統合失調症を患っているように見えないのみならず、「ダンテ」はステージ用のキャラクターであるとまで言い切る。そんなダンテの姿に戸惑うチームに、FBIのラボからさらに驚くべき情報がもたらされた。被害者に付着していた唾液が女性のものだったというのだ。
■犯人は女性だ!
犯人は女性であるという見地からプロファイルを見直したリードが、犯人の正体にたどり着いたとき、ガルシアから一本の電話が入った。タラの友達であるジーナが、ファンメールで、ダンテをヴァンパイアの神と崇め、彼のためなら人殺しもすると書いているというのだ。犯人はタラの親友のジーナ・キングだったのだ! そしてそのジーナの元には、被害者の交友関係を調べるために、JJがひとりで聞き込みに出かけていた。その頃、ジーナの家についたJJは、乱雑に散らかった家の中で、ジーナの異様な姿に直面していた。彼女は、まるでJJのことなど気にもとめず、血液が腐らないようにアイスボックスに入れようと躍起になっていたのだ。ジーナが犯人であることに気づいたJJが、銃を抜こうとしたとき、ダンテのマネージャーのカンピオンが背後からJJを襲撃。JJは朦朧としながらも、カンピオンがJJを殺すようにジーナを唆しているのを聞いた。ニューアルバムのために話題を作ろうとしたカンピオンが、ジーナを利用して仕組んだ犯行だったのだ。やがて捜査陣が駆けつけ、JJは救出され、カンピオンとジーナは逮捕された。

【格言】
「超自然界における邪悪な存在の中で一番タチの悪いものはヴァンパイア。悪魔の中でも最悪の存在である」作家モンタギュー・サマーズ(1880‐1948)年の言葉。モンタギュー・サマーズは、英国のオカルト研究家であり、ローマ・カトリックの聖職者でもある。吸血鬼に関する研究書The Vampire: His Kith and KinとThe Vampire in Europeを上梓している。引用はThe Vampire: His Kith and Kinのイントロダクションの冒頭。日本では、この2冊を合本・抄訳した『吸血妖魅考』(日夏耿之介訳/ちくま文庫)が刊行されている。
「読者に迎合して自分を失うより、自分を貫いて読者を失う方がマシだ英国の批評家・雑誌編集者シリル・コナリー(1903-1974)の言葉。
【キム刑事】
シーズン1の18話「恋におちた捜査官」でも登場した刑事。映画『TEKKEN 鉄拳』の三島一八役や「チャームド~魔女3姉妹」の化身のひとりを演じているイアン・アンソニー・デイルが演じている。ライラはこの事件でストーカーに狙われていた売り出し中の女優。
【レンフィールド】
ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』に登場する精神病の患者。食べた生き物の生命が、そのまま自分の生命になると考え、最初は小さな虫を、しだいに小動物を殺して食べるようになる。
【左海岸】
再会したキム警部補が口にした「左海岸へようこそ」という言葉。「左海岸」とは、西海岸のこと。地図上で左側にあるからという意味と、西海岸は左派の勢力が強いことの両方をかけて使われる。
【ゲストスター】
ダンテを演じているのはロックバンド「ブッシュ」のボーカルのギャビン・ロスデイル。歌手のグウェン・ステファニーの夫で、モデルのデイジー・ロウの父親でと、私生活は何かと話題の多い人物。これまで「コンスタンティン」などの映画には出演しているが、メジャーなドラマの出演はこれがはじめてと言ってもいい。なお冒頭のコンサート・シーンで歌っているのは、ジョイ・ディビジョンのLove Will Tear Us Apart。バックバンドをつとめているのはMarc FantiniとSteffan Fantini兄弟。今回は出演していないが、Fantini兄弟とScott Gordonの3人が、クリミナル・マインドのBGM音楽を担当している。
マネージャーのカンピオン役は映画「オーシャンズ11」の電子・通信の専門家リヴィングストン・デルを演じたエディ・ジェイミソン。またダンテ身柄拘束を報道するレポーターのエリザベス・チェンバーズは、実名でニュース専門チャンネルであるカレントTVのレポーター。
【トライワイト】
アメリカのティーンエイジャーに絶大な人気を誇るステファニー・メイヤーのベストセラー小説。吸血鬼を引きよせる特殊な血を持つ女子高生のベラと、超能力を持つ吸血鬼エドワードの禁断の恋を描いたラブストーリー。タラがパスワードにしていていた「カレン」というのは、エドワードの名字。両親と、3人の息子、2人の娘がいるカレン家は、生まれた場所も、時代もさまざまで人間としての血縁関係はないが、ヴァンパイアに転生させることで家族となった。ただしカレン家の人々は吸血鬼だが、人間の血を吸わない菜食主義者だ。クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソンの主演で映画化もされている。なお、日本でも翻訳刊行されているので興味のある方はこちらでどうぞ(トワイライト公式ページ)。
【時計仕掛けのオレンジ】
エピローグで、「だから僕はベートーベンが好き。後ろ暗いところがないから」というリードに、プレンティスが「『時計仕掛けのオレンジ』って知らない?」と突っ込む。今回のエピソード、リードの堅物ぶりが強調されているが、『トワイライト』はまあしょうがないとしても、『時計仕掛けのオレンジ』を知らないのはちょっと問題。この作品、英国作家アンソニー・バージェスによるディストピア小説で、1971年に「2001年宇宙の旅」で知られるスタンリー・キューブリック監督が映画化。物語の冒頭で、強盗、レイプ、殺人など反社会的な暴力に明け暮れる少年アレックスが、刑務所で洗脳実験の被験者となるのだが、洗脳の条件付けに使われた音楽がベートーベンの交響曲第九。アレックスは暴力少年だが、ベートーベンを愛しており、このときの「やめてくれ、ベートーベンはいい人なんだ!」と叫びは有名。舞台化もされており、日本でも、昨年、小栗旬主演で上演されている。

2011.3. 8|エピソード・ガイド|コメント(2)トラックバック(0)

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コメント

最初ジーナのほうが襲われると思っていたので、タラが襲われて「おやっ」と思いました。
今回のお話にはいろんな方がゲスト出演していたんですねぇ。
マネージャーの人はすぐにわかったんですが、ダンテの人はグウェンの旦那さんだったんですねぇ。
それと「時計仕掛けのオレンジ」です。聞いたことあるけど。。。なんだっけ?と思っていました。小栗旬のですね。まったく内容は知らなかったので、そうゆうことだったんですねぇ。

投稿: march | 2011年3月 9日 (水) 00時05分

今回の話しは、不気味な感じで、真犯人には頭にきましたが、何となく、チームの雰囲気が、ほんわかしていて良かったです。JJとリードの会話は、本当に姉と弟みたいでした。今週と来週とシーズン1からのエピソードですね。何か意味があるのかな。来週も楽しみです。

投稿: ろん | 2011年3月 9日 (水) 08時30分

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