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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


3月29日(火)S5#10『恋愛シミュレーター』

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■バラの花びら
ヘイリーの追悼式の夜。緊急の呼び出しがかかり、ホッチに暇をつげた一同は、テネシー州ナッシュビルへ向かった。ナッシュビルでは、2週連続で金曜日に殺人事件が起きていた。被害者はいずれも黒髪のエリートのキャリア・ウーマン。金曜日に会社を出た後消息を絶ち、高級住宅街の自宅で殺害された。家には押し入った形跡がなく、床にはバラの花びらがまかれていた。犯行は秩序型のそのものだが、犯人は犯行現場の指紋を拭き取ろうとした気配も見えない。つまり犯人は、指紋を残しても身元が割れない自信がある人間、被害者とは赤の他人で、逮捕歴のない人間だと考えられた。やがて検視によって、被害者が暴力を受けていたこと、さらに胃の内容物がまったく同じであることが判明する。犯人は最初の一撃で圧倒的優位に立ち、花びらとワインとパスタで、なんらかのファンタジーを実現させていたのだ。
■被害者像と犯人像のプロファイル
ガルシアはモーガンの指示を受け、被害者と犯人の接点を探るために、被害者の行動、記録を洗い出した。被害者同士に接点はなかったが、ふたりとも、カントリークラブのメンバーで、高級レストランで食事をして、しゃれたホテルに泊まるという、ハイソなライフスタイルは同様だった。チームは、犯人もその生活に溶け込むような、教養があって礼儀正しい紳士だと分析する。犯人の原動力はファンタジーであり、あるロマンティックな一夜を被害者共に繰り返している。彼は最近、恋人を失ったか、泥沼の離婚をしたばかりで、被害者は、彼が失った相手の身代わりなのだ。BAUのプロファイルを受け、地元警察は、被害者が立ち寄った高級施設を回り、プロファイルに合致する男性と、被害者像に合致する女性を捜索する。こうして犯人にたどり着けないまま、金曜日は過ぎていった。
■ファンタジーの進化
翌日、第3の被害者エリカ・シルヴァーマンが発見された。彼女もやはり黒髪のキャリア・ウーマンだったが、今回の現場では、エリカのボーイフレンドも一緒に殺害されていた。殺害方法は残忍で、顔がわからないくらい殴られ、さらに複数回刺されていた。また、エリカには性交渉の痕跡があり、殺されないように犯人のファンタジーに合わせたことが推測される。愛を交わしたにもかかわらず、そこにボーイフレンドが現れたために、犯人の怒りを買ったのだ。エリカは、これまでの被害者のような派手な外出をしておらず、この一週間、クレジットカードも使用していなかった。そこでリードがカーナビの記録から彼女の行き先を調べることを提案。全ての被害者の車を調べることとなった。エリカと性交渉を持つことでファンタジーが一歩進んだ犯人は、もう歯止めがきかず、次の金曜日を待たずに犯行に及ぶ。そう考えたBAUはJJに記者会見を開き、詳しい被害者像を発表して注意を促した
■ファンタジーの意味
カーナビの記録と地理的プロファイルを照会したガルシアは、職場と家を往復するだけのエリカが火曜日に植物園に出かけていたことを突き止めた。植物園に出向いたリードとJJは、その日、そこで企業のパーティが開かれていたことを知る。パーティのゲストは、会場まで車で乗り付け、駐車係に車を預けていたという。駐車係は、何ら不審に思われることなく車の鍵を手にでき、さらにカーナビから自宅の住所を手に入れることもできる。その頃、モーガンもまた、犯人は現在も裕福な人間なのではなく、子供の頃に上流階級の身のこなしを身につけた人物なのではないかと思い至る。分不相応な生活をつづけるこの男は、多額の借金を抱えているはずだ。モーガンは、被害者が訪れた施設の従業員から、該当する人物を捜すようにガルシアに指示。こうして、被害者たちが出入りしていた施設と契約していた駐車サービス会社の従業員、ジョー・ベルサーの名前が浮上する。ジョーは、裕福な家庭に育ったが、相続した遺産を全て株で失い、さらに最近、恋人に裏切られ、婚約を破棄されたというのだ。部屋に撒かれたバラの花びらは、結婚式をあげるはずだったチャペルのパンフレットの写真の再現だったのだ。彼はカーナビから情報を盗み、全メーカー対応のガレージの開閉キーでガレージをあけ、そこから被害者宅に侵入していたのだ。その後、ベルサーが派遣されたパーティのVIP名簿から被害者像に合うターゲットを割りだした捜査陣は、その家に急行。間一髪のところでベルサーを逮捕、ターゲットの女性を救助した。

【格言】
「愛するべきは我が家。身体は離れても、心の残る場所」アメリカの医師で作家、オリバー・ウェンデル・ホームズ(1809年8月29日-1894年10月8日)の言葉。1972年に刊行された詩集『朝食の詩人』の一節だ。
「どんな過去を持ち、どんな未来を持っているかは些細なこと。大事なのは自分の中に何があるかだ」アメリカの思想家で作家、ラルフ・ウォルドー・エマーソン(1803年5月25日-1882年4月27日)の言葉。なんですが、調べてみると、この言葉もオリバー・ウェンデル・ホームズの格言としている書籍がけっこうあるんですよね。ホームズが『エマーソン伝』を執筆しているので、その中の一節なのではないかと分析するのですが、ごめんなさい、確認できませんでした。
【ヘイリーとの別れの言葉】
ホッチが葬儀の席で語る「世界は愛で回っている」は、英国の劇作家W・S・ギルバート(1836-1911)とアーサー・サリバンのコンビで製作されたオペレッタ『アイオランシ』の中の一節。「おお、涙をふけ。戦士のほほを濡らす涙を。愛する子供たちが、おまえの嘆きを聞くだろう。そして優しく気遣い、お前を抱きしめるだろう。決して彼らに見せるな。父親の涙を」も、同コンビによる『ペンザンスの海賊』の中の一節。「ペンザンスの海賊」は、1879年にニューヨークで初演されたもので、心優しい海賊一族の青年と、英国海軍将校の娘のラブストーリーを中心にした、ユーモラスな作品。葬儀の席でホッチは「ヘイリーとは演劇部上演した「ペンザンスの海賊」で知り合いました」と語っているが、真実はもっと微笑ましい。ホッチとのヘイリー出会いは高校時代。ホッチが3年生でヘイリーは1学年下の2年のときだ。校内を歩いていたホッチが、間違って演劇部の稽古場に迷い込み、そこでヘイリーを見て一目惚れ。この人を奥さんにしようと決めた彼は、その夜、名簿でヘイリーの名前と学年を確認、翌日、演劇部に入部した。ホッチは「ペンザンスの海賊」の舞台に出演し、「海賊その4」を演じた。演技力の問題なのか、単に、入部が卒業間際だったためか、ホッチの舞台出演はこれが最初で最後となった(S1ファイナル「地獄からの挑戦状」より)。
【原題】
本エピソードの原題The Slave of Dutyは、「ペンザンスの海賊」の副題。dutyというのは、役目や任務、義理や仁義といった意味。slaveは虜。犯人のこととも、被害者のこととも、そしてホッチのことともとれる意味深なタイトルですね。
【ゲスト・スター】
犯人の信頼を得て、なんとか生き延びようとした第3の被害者エリカを演じているのは、レナ・ソファー。「HEROS」のネイサン・ペトレリの妻のハイディ、「24」のジャック・バウアーの昔の恋人で兄嫁のマリリン・バウアー役などがある。
【ホッチの決意】
悲しみのなかで、ヘイリーを埋葬したホッチ。告別式での、ヘイリーとの思い出を語るシーンは、言葉ひとつひとつが痛いほど胸に響く。母を失ったジャックのそばにいてやりたいと考える彼に、ストラウスは退職を勧める。一方ヘイリーの姉ジェシカは、自分がジャックの面倒をみるから、仕事を続けるようにと励ます。どうすることがヘイリーの望なのか。そしてジャックにとっての幸せなのか……。事件解決後、ヘイリーのまだ墓石もたっていないお墓を見つめるホッチを、ロッシが尋ねる。「(復職することを)彼女に伝えたのか?」というロッシの質問に対し、ホッチは、「言わなくていいんです。彼女は知ってますから」と答えるのだった。

2011.3.29|エピソード・ガイド|コメント(3)トラックバック(0)

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コメント

原題はペンザンスの海賊の副題なのか。
”The Fisher King, Part 1”でペンザンスの海賊について話してたっけ。ホッチとヘイリー。

投稿: カズト | 2011年4月 1日 (金) 11時48分

クリミナルマインド大好きです!
今、やっとDVDレンタルでシーズン4を見終わったのですが
シーズン5はどのチャンネルで放送してるのでしょうか?
よろしけば教えてください(>_<)

投稿: らぶガルシア | 2011年4月 3日 (日) 11時15分

シーズン5=WOWOWで、放送中ですが…

投稿: $&# | 2011年4月 3日 (日) 23時10分

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