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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


2月1日(火)S5#2『閉ざされた記憶』

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■スプリーキラー
ケンタッキー州ルイヴィルの薬局でひとりの男が突如錯乱。止めに入った店員をナイフで刺したのを皮切りに、次々に店内の客を刺し、さらに警備員から銃を奪い発砲。3人を死亡させ、ナイフと銃を持ったまま逃走した。男はダリン・コール、40歳。家族はなく、最近20年近く勤めた工場を解雇されていた。通常スプリー・キラーは犯行後に自殺することが多いのに、なぜコールは逃げたのかとホッチの問われたリードは、「殺したい誰かがいて、最初の被害者はその身代わり」なのではないかと推測。また防犯カメラの映像から、コールの行動は、身体に触れられたことによって引き起こされる防御的なものだと判断。地元警察がコールを探しローラー作戦を展開するなか、BAUはコールの背景をさぐるべく自宅と犯行現場に向かった。やがて薬剤師からコールが抗精神病薬を服用していたことを知らされ、主治医の元に急行するが、その頃既にコールは主治医チボラの診療所を訪れていた。血まみれで手にはナイフを持ったコールを、チボラはなだめようとする。成功しそうに見えたそのとき、たまたま診療に来ていた動転した患者がコールに接触。錯乱したコールは医師と患者の2人を殺害して逃走した。
■失われた記憶
コールの経歴を調べるガルシアは思わぬところで行き詰まっていた。なんとコールには誕生から6歳までの記録がなかったのだ。ダリン・コールは、1975年の5月1日、さまよっているところを保護された。該当する捜索願いはなく、その後、1年間なにもしゃべらず、ようやく話せるようになったときには以前の記憶を失っていたため、身元が判らなかったのだ。コールは自分の過去を知るため、長年常用してきた薬を断ったのではないか。コールの過去を探るBAUに、地元警察のミッチェルがホロークリークで起きた連続誘拐事件の情報をもたらした。1975年に、被害者3人の子供が遺体で、ひとりが無事に保護された未解決の事件だ。保護されたのは当時12歳のトミー・フィリップスという少年だった。ホッチはガルシアにトミーの行方を捜せる一方で、6歳の子供がダヴィン・コールとなった場所、児童保護施設へと向かった。しかしまたもや捜査陣の到着が後手にまわり、コールはこの施設でライアンという名の少年をさらって逃走した後だった。施設のスタッフによると、コールはライアンに「トミー」と呼びかけ、さらにガラス窓にうつった自分の顔を見て逆上したという。
■ホロークリークの殺人鬼
BAUはコールを先回りにするために、ホロークリーク事件の分析をはじめる。事件が起きたのは73年から75年。誘拐されたのはいずれも少年。学校からの帰り道に、ひとりになったところで誘拐されていることから、家か職場が学校の側だと考えられた。やがてガルシアが、隣の隣の郡で名前を変えて暮らしていたトミーを発見する。しかし彼は、生き残ったのは自分一人だけだと主張していた。投げやりなトミーの暮らしぶりを見たホッチは、彼が事件だけではなく、コールを置き去りにしたことがトラウマになっていると判断し、そこを突破口にして口を開かせることに成功した。トミーが捕らえられていたとき、ホロー・クリークキラーの元には、もうひとり幼い男の子がいて、一緒に逃げようとしたが、彼は捕らえられてしまったというのだ。BAUは、その男の子が拘束されていなかったこと、トミーを殺そうとしたときも車の助手席に座っていたことに着目し、コールはホロー・クリークキラーの息子だと推理する。
■過去との対決
コールに捜索願いが出されていなかったことから、ホッチはコールには守ってくれる母親がいなかったと推測。69年から75年までの女性の死亡記録を絞り込み、出産で死亡したドリス・ジャーヴィスという女性にたどり着く。このとき産まれた子供がコールで、夫ビル・ジャーヴィスこそがホロー・クリークキラーだ。過去を取り戻そうとしているコールは、必ずここにたどり着く。捜査陣はジャービスの家に急行するが、既にライアンを連れたコールが先着していた。突入を主張する警察と、犠牲者を出したくないBAUが押し問答をする中、予告もなくホッチが行動を起こした。単独でジャーヴィスの家に向かったのだ。ホッチは言葉巧みにコールの注意をひき、ライアンを外に逃がした。とりまく警察が、飛び出してきたライアンを確保した刹那、家の中から銃声が響いた。そして邸内に突入した捜査陣が見つけたのは、コールに撃ち殺されたジャーヴィスと、ホッチによって拘束されているコールだった。コールはその後トミーに再会。「トミーのおかげで何もかも変わった」と感謝のことばを伝える。そしてトミーは励ますように肩にのばした手を、受け入れるのだった。

【格言】
「部屋でも屋敷でもなく、人が何かに取り憑かれることがある。脳には現実をはるかにしのぐ廊下があるのだ」アメリカの詩人、エミリー・ディッキンソ(1830.12.10-1886.5.15)の言葉。今でこそアメリカを代表する詩人と位置づけられているが、生前には一冊の本も刊行されることはなかった。17歳のころから家にひきこもりがちになり、詩作をつづけた。ひきこもりではあったが、詩はウィットにとみ、言葉の裏にはさまざまな意味が見え隠れする。詩にはタイトルがつけられていないが、引用は1955年に刊行されたジョンスン版『エミリー・ディキンスン詩集』で670番の番号がふられた作品で、自己に潜む恐怖や罪の意識、そして狂気を描いた詩だ。「取り憑かれる」という単語が、このエピソードの原題でもあるHauntedである。このあと、部屋に潜む暗殺者よりも、背後に隠れている自己に驚かされる。ピストルを構えてドアを閉めても、幽霊か何かを見逃してしまう。というような内容で締めくくられる。
「誰より恐るるべき目撃者、容赦のない告発者は、すべての人の心にある良心である」ギリシャの歴史家ポリュビオス(紀元前2世紀頃)。ローマの歴史書『歴史』で知られる。
【ゲストスター】
ダリン・コールは「インディ・ジョーンズ 若き日の大冒険」で一世を風靡したショーン・パトリック・フラナリー。昔ながらの足を使った捜査を主張するミッチェル刑事を演じているのは、グレン・モーシャワー。「24」全シリーズに登場している信頼の人、シークレットサービスのアーロン・ピアースでお馴染み。トミー役は「LOST」のシーズン2、シーズン3でダニー・ピケットを演じていたマイケル・ボウエン。
【リードの松葉杖】
一方、前回、脚を撃たれたリードは今回から大手をふって松葉杖で出勤。「杖はいつまでだ」というホッチの質問には「わからないんです」という大胆な答え。マシュー・グレイ・ギュブラーはこの骨折で3度も手術をしているので、松葉杖はかなり長引く模様。
【スプリー・キラー】
S3#1『ギデオンの決意』でも登場したスプリー・キラーとは、犯罪のインターバルが短い無差別連続・大量殺人者のこと。学校での大量殺人がスプリー・キラーによる事件の典型とされ、1966年のテキサスタワー乱射事件、1999年のコロンバイン高校銃乱射事件、2001年の附属池田小事件、2007年のヴァージニア工科大学銃乱射事件などが数えられる。
【ホッチの復帰】
リーパーに刺されたホッチは1ヶ月と4日休んだだけで仕事に復帰。事件はホッチの活躍もあって解決したが、しかし気になるのはその言動。家族もいず、守るもののないコールに対する「なぜ自殺しないのか?」というホッチの問いも、トミーを追い詰めたときの発言も、まるで自分自身のことを語っているように聞こえる。コールの後手に回っていることに苛立った際も、リーパー事件を引き合いに出し、同じミスは犯せないと語気を荒くする。さらに最後は危険を顧みず、単身でジャーヴィス家に向かい、コールを説得するという暴挙(?)に及ぶ。モーガンはそんなホッチの行動の背景に、死を望む部分があるのではないかと心配し、ロッシは「(ホッチを)信じなきゃだめだ」と主張する。またホッチを自宅まで送ったプレンティスも、「今のコールにはトミーがいるからひとりじゃない」と、コールの話にかこつけ、懸命に自分たちが存在することをホッチに伝えようとする。みんなの気持ちがホッチに少しでも伝わり、それが助けになっていればいいな。というわけで、重苦しい空気のままこの問題はまだまだつづきます。

2011.2. 1|エピソード・ガイド|コメント(9)トラックバック(0)

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コメント

ホッチがすごく心配ですね。
リーパー事件が解決するまで、あの調子なのでしょうか?観てて力がはいってしまいます。
ダリン役の人、観たことあるなぁと思ってたのですが、インディーやった人だったんですね。いつもここの情報でスッキリします。ありがとうございます。

投稿: march | 2011年2月 2日 (水) 00時12分

クリミナルマインドを見るときはいつも緊張しています。今回は特にホッチの行動にドキドキさせられました。
ダリン・コールの子役をしていた子の名前を知りたいのですが…。とても可愛い子でした。
来週も楽しみにしています。

投稿: ゆう | 2011年2月 2日 (水) 00時32分

いつも楽しみにクリミナル・マインド観ています!
ホッチの復帰、嬉しかったです!
ですが、性格や行動が荒々しくなり、モーガンはそんなホッチに納得いかずプレンティスはかなり気を使っていたのでこれからのBAUのチームワークが心配です。

投稿: Kate | 2011年2月 2日 (水) 01時20分

ホッチが心配です。以前のホッチなら、ああいう行動は逆に諌めていた立場だと思うのですが。でも仲間がいるから大丈夫ですよね?早くヘイリーやジャックと会えるようになればいいなあ。

投稿: ろん | 2011年2月 2日 (水) 09時04分

ホッチが痛々しかったです…復帰は嬉しいですが。吹き替えだとモーガンとホッチ、不協和音発生っぽかったですが、原語だとモーガンは捜査への支障ではなくあくまで「ホッチ個人」をすごく心配してる印象でした。ホッチが立ち直れなくなるのが何より怖いといった感じ。だからあんまり心配してません。BAUはどんなときもきっちり仕事してくれますし。
来週はロッシフューチャー回ですね!楽しみですww

投稿: kaito | 2011年2月 2日 (水) 09時32分

ホッチの様子が見ていてつらいです。
それでも仕事をしていないと余計におかしくなりそうだし・・・

今回の話、犯人が最後に見せた幸せそうな表情が印象的でした。

投稿: SESAME | 2011年2月 2日 (水) 17時02分

good自分も(トミー)の様になれたらなあって思います。これからも、楽しみにしています。

投稿: katu | 2011年2月 2日 (水) 23時15分

ダリン・コールの子供時代を演じているのはベンジャミン・ストックハム(でいいのかな、綴りはBenjamin Stockham)。アメリカで昨年放送されたシトコム、Sons of Tucson で 三兄弟の末弟を演じています。CSI:NYシーズン7の7話にもゲストで登場するようです。

投稿: 三村美衣 | 2011年2月 3日 (木) 16時56分

三村美衣様、ありがとうございます。
CSI:NYにもでてたのですね!さっそく調べてみます。

投稿: ゆう | 2011年2月 4日 (金) 00時21分

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