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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


6月8日(火)S4#22『闇夜に浮かぶ観覧車』

22 ■救いを求める殺人鬼
ニューヨーク州バッファローで、不動産業者のミシェル・ワトソンが刺殺され、その6日後、警察宛に殺害の様子を撮影したムービー・ファイルが送られてきた。BAUは映像分析のためにガルシアも伴って現地にとんだ。送られてきた映像は約9分間。犯人の自宅とおぼしき部屋から始まり、通った道、会話を交わした通行人、殺害の様子が記録されていた。さらに自宅の場面には、室内モニターがあり、そこには別の刺殺事件の映像が流れていた。しかし何よりも異常なのは、犯人がカメラにうつるように赤いマジックで「HELP ME」と書いていることだ。通常サイコパスから、こういうメッセージは出てこない。もしこのメッセージが犯人の本心で救いを求めているのだとすれば、犯人は何らかの理由で自分自身を取り戻し、殺人をやめたいのにやめられず、ジレンマに苦しんでいることになる。
■繰り返される凶行
現場検証に出向いたモーガンは、撮影された通行人や被害者の様子から、犯人は眼鏡にカメラを仕込んでいたと推測。通行人の供述から作られた似顔絵がカメラ店に配られ、やがてヴィンセントと名乗る男が、ワイヤレスカメラを眼鏡に組み込ませていたことが判明する。殺害現場にあったミシェル手帳の「29」という数字が、犯人によって赤い二重丸で囲まれており、その日付に犯人は何かを計画していることが予測された。一夜明けた29日の朝。人気のない場所で、12人目の被害者が発見された。胸にはミシェルと同じ刺し傷があったが、これまでの犯行とは人種、髪の色、年齢が異なるうえに、身許を示すようなものが全て奪われていた。BAUは今回の殺人は突発的なもので、被害者は犯人の知り合いだと考える。犯人のプロファイルは「極度の強迫性障害。映像を送り、逮捕を望む一方で、強迫性障害による犯行を止めることができない。「29日」、つまり本日中に何かを計画している。精神状態は悪化しており、やがて精神障害を隠しきれなくなり、最終目的を果たすまで無謀な行動に出る」というものだった。
■盲目の目撃者
この10年にバッファロー周辺で起きた未解決事件を再検討した結果、同一犯と思われる11件の殺人が確認された。不思議なことに、10人目までは犯人の行動は怒りにみち、めった刺しにしているのに、11人目のミシェルの傷はたった一カ所で、ムービーには後悔の念が現れている。犯人を変えたのは何なのか。ロッシとモーガンはその答えを求め、10件目の被害者の息子のスタンリー少年を訪ねた。スタンリーは盲目で、犯人の姿を見ていないが、認知インタビューによって実は事件現場で犯人と遭遇していることが判明した。一方その頃犯人は、ストリート・ギャングに強盗にあいかけ、ギャングを刺殺。ギャング仲間の証言から、犯人が銃で撃たれていること、舌を打ち鳴らす癖があったことがわかった。舌を打ち鳴らすのは、視覚障害が使うエコーロケーションというもので、スタンリーがその方法を使っている。そして今日、29日はスタンリーの誕生日。なんと、犯人の目的はスタンリーだったのだ。スタンリーの元に捜査陣がかけつけるが、時すでに遅く、スタンリーの姿は家から忽然と消えていた。その頃、モニターの中の殺人映像を分析していたガルシアが、ついに事件を同定。事件は1983年に起きたキム・ローリンズ殺害事件で、発見されたとき、遺体の傍らには9歳の息子のヴィンセントが坐っていたという。
■夜の遊園地で……
父親が母親を刺殺したのを目撃して以来、心を病んだヴィンセントは、母親の殺害映像を繰り返し見直し、その現場を再現するために殺人を繰り返してきたのだ。ところがスタンリーの母親を殺した日、母親をさがすスタンリーを見た彼は、少年の中に本来の自分自身を見出した。以来ヴィンセントはスタンリーの元にボランティアで通い、心の安定を保っていた。ところがスタンリーが里親と共にカリフォルニアに引っ越すことが決まり、それがストレスとなって、ヴィンセントはミシェルを殺害し、そして運命の29日、ギャングの銃弾を腹部に受けたヴィンセントは、応急処置だけしてスタンリーの元に向かう。スタンリーの誕生日に、遊園地の観覧車に乗る約束をしていたのだ。母親が殺害されたときのことを思い出し、「(母親といっしょに)殺されればよかった」と語るスタンリーに対し、ヴィンセントは「死にたいなんて思っちゃだめだ」と諭す。「君は特別だから」と……。やがて捜査陣が遊園地の観覧車に乗る2人を発見するが、ヴィンセントは既に息絶えており、その手はしっかりとスタンリーに握られていた。そしてスタンリーはヴィンセントこそが母を殺した犯人であることを悟るのだった。

【格言】
「光が明るく輝くためには、闇の存在が不可欠である」ルネサンス期英国ののキリスト教神学者・哲学者・法律家フランシスコ・ベーコン1561年1月22日-1626年4月9日)の言葉。
「どんな闇の中でも愛と希望は生まれうる」アメリカの俳優ジョージ・チャキリス(1934年9月16日-)の言葉。『ウエスト・サイド物語』でアカデミー助演男優賞及びゴールデングローブ賞 助演男優賞を受賞した。
【ゲストスター】
ヴィンセントを演じているアレックス・オローリンは、「ザ・シールド~ルール無用の警察バッジ~」のシーズン6でケヴィン・ハイアット刑事役を演じて一躍スターに。その後、吸血鬼ドラマ「ムーンライト」に主演している。盲目のスタンリーを演じたのは1996年09月15日生まれのジェイク・チェリー。『ナイト・ミュージアム』のラリーの息子ニック役など、数々のドラマ、映画に出演している。里親役のマーサ・マディソンは、7話「悪夢の結末」でも話題になった昼メロ、「愛の病院日誌」(Days of our Lives)に出演している。
【エコー・ロケーション】
音を発して、何かにぶつかって跳ね返ってきた反響を受信、ぶつかった何かとの距離や位置関係を知る方法で、音を使ってはいるが機能的には視覚の役割を担うものだ。動物では鯨やイルカ、こうもりが使用しており、潜水艦のソナーも原理は同じ。スタンリーは、「ちっ、ちっ」と2回舌を打ち鳴らすが、人間がたてられる音では、この舌を打ち鳴らす音が最も効果が高いそうだ。ワールド・アクセス・フォー・ザ・ブラインドという視覚障害者を支援する団体が、このエコーロケーションを推進しており、今回アドバイザーとして加わっているダニエル・キャッシュは、自身も視覚障害を持つこの団体の事務局長だ。
【フラッシュダンス】
1983年に公開されたアメリカのダンス映画。ダンサー志望の青春を描き、世界的にヒットした。アイリーン・キャラの映画主題歌『フラッシュダンス:ホワット・ア・フィーリング』は、アカデミー賞で歌曲賞を受賞。日本でもカバーされた。フラッシュダンスみたいなセーターというのは、主演のジェニファー・ビールズがレオタードの上に着て話題を呼んだ、首回りがカットされていて鎖骨がのぞくセーターのことだと思われる。
【バイキャップ】
モーガンとガルシアの会話に登場するバイキャップというのは、ViCAP(Violent Criminal Apprehension Programの略で、暴力犯罪者逮捕プログラムのこと。FBIの危機的事件対応グループの国立暴力犯罪分析センターの一部門、つまりBAUのお隣さんみたいな存在で、暴力犯罪、特に殺人、動機不明・無作為・性犯罪絡みの誘拐、犯罪絡みの失踪、性的暴行事件、犯罪絡みの身元不明遺体のデータ収集、パターン分析を行う。1998年にネットベース化され、各地の警察からもアクセス可能になった。

2010.6. 8|エピソード・ガイド|コメント(7)トラックバック(0)

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コメント

なんだか最後はかわいそうでした。
ヴィンセントもある意味被害者なわけですね。母親が殺されたときにちゃんと心のケアができていたら・・・
でも、殺人犯は殺人犯。罪のない人たちを殺した報いは受けなければなりませんね。
最後にスタンリーがヴィンセントが犯人であることに気がついて泣いていましたが、殺されなくてよかったです。

投稿: march | 2010年6月 9日 (水) 00時01分

脚本が今まででいちばん好きなエピソードである1#14「死刑へのカウントダウン」のサイモン・ミレン。心にどんな衝撃が来るのかと心拍数上がりっぱなしで見ていました。

感情に訴える、心を動かされるエモーショナルなラスト。
切ないです・・・。


”打ちのめされても彼(ホッチ)は動じない。もし彼が泣くようなことがあれば、その前に僕らが泣く。”
ミレンは泣かせるのがうまいですね。

投稿: ホッチKISS | 2010年6月 9日 (水) 01時54分

悲しいストーリーでした…。ビンセントもスターリンも被害者だけど、ビンセントは殺人者になってしまって。凄く見ていて可哀想でしたm(__)m

投稿: プチjj | 2010年6月 9日 (水) 22時00分

ヴィンセントも、母が殺害されるシーンを見て、怒りと恐怖と共に興奮を覚えてしまったのかも。。。大阪姉妹殺害事件を思い出しました。


海外で犯人が『俺を止めてくれ』って書き残す事件ありましたね。

投稿: キャラメルプラリネチーズケーキ | 2010年6月 9日 (水) 23時17分

悲しいですね。
もし病気にならないでちゃんとケアが出来ていれば…
こんなことは起きなかったはずですね。
とても可哀想でした。

投稿: Holydragon | 2010年6月11日 (金) 19時09分

「父親だったらよかったのに」とまで思った人が実は母を殺した犯人だった、というスタンリーはこれからどういう人生を歩んでいくのでしょうか…。
実の父親が母親を殺したヴィンセントと重なりますね…。

投稿: jakamine | 2010年6月13日 (日) 08時43分

コストカットの為AJと契約更改しなかったって・・・本当なのですか?ショックです。JJは唯一無二の存在なのに!嘘だと言って!!

投稿: ホッチKISS | 2010年6月15日 (火) 14時03分

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