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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


4月27日(火)S4#17『悪魔祓い』

17_5■忘れ得ぬ友人の死
古い友人のジョン・クーリーから呼び出されたプレンティスは、彼から共通の友人であるマシュー・ベントンの死を知らされた。マシューの両親は心筋梗塞が原因だというが、最後に会ったときに彼は怯えており、「ジョージタウンのトミー・Vが事故に見せかけて殺された。次は自分だ」と話していたというのだ。その話を聞いたホッチは、警察からの依頼はないものの、プレンティスに協力する形で捜査を始める。やがてガルシアの調査で、確かにジョージタウンに住む35歳のトーマス・ヴァレンタインという男が脱水症状で死亡していることが判明。さらにマシューとトーマスは、同じ時期にスペインのガリシアにある巡礼の地、サンティアゴ・デ・コンポステーラに出かけていたことが判明する。
■犯人はエクソシスト
マシューは少年時代から教会に疑問を持ち、宗教的な混乱から、薬物依存症になっていた。一方のトーマス・ヴァレンタインは幻聴がひどく、抗精神薬を服用していたという。どちらも家族は敬虔なクリスチャンで、息子や夫の神を否定するかのような態度に心を痛めていた。さらに遺体の手首に縛られていたような痕があり、部屋の床にはベッド脚を引きずったような傷が残されていた。ロッシは、統合失調症や薬物依存が「悪魔憑き」と誤解されやすいこと、遺族が「悪魔」や「魂」という言葉を使ったことから、彼らの死にエクソシストが関係しているのではないかと推測。その後さらに、同時期にスペインに旅行していた男が、脳動脈瘤で死亡した。3人の接点を調べていたガルシアは、マシューが教会に裏切られた人々を支援する掲示板を開設していたこと、彼らがスペインに行っていた時期に、サンティアゴ・デ・コンポステーラで巡礼ミサを行うはずだった司祭が、心筋梗塞で死亡し、VXガスによる殺人ではないかと噂されていることを突き止めた。

■外交特権
犯人にたどり着く情報を持っている人がいるとすれば、それは犯人と同じ聖職者だ。そう考えたロッシは、友人の神父に地域のカトリック教会関係者を集めてもらい、そこでプロファイルを発表する。神父たちは、もしこの短期間に3件もの悪魔祓いを行った人物がいるなら、病院にかからなければならないほど消耗しているはずだと主張。3人の死亡時期と、カトリック系病院の入院記録をつきあわせた結果、ポール・シルヴァーノという神父が浮上した。シルヴァーノ神父は、プレンティスの事情聴取に対し、自分がスペインで亡くなった神父の友人で、マシューたちのガリシア滞在も承知していたことは否定しなかったが、死者の部屋にいたのは、司祭として家族に招かれたからで、自分は悪を取り除く手助けをしただけだと語る。ところ3人の死に関与していることが判明しても、彼がイタリア政府発行の外交ステータスを得ているために、神父に謝罪、放免せざるを得なかった。
■最後の悪魔祓いは……
ロッシは、取り調べで神父が「強くあれ、嵐は間もなく終わる」と語ったことに着目。ターゲットがもうひとり存在すると推測する。そこで彼は、プレンティスを伴ってベントン家に向かった。ベントンの両親は、自分たちが悪魔祓いの現場に立ち会っていたことを告白するが、しかしあくまでも息子を殺したのは悪魔だという主張は曲げなかった。プレンティスはそのとき、両親の話が、ジョン・クーリの説明と矛盾することに気づいた。彼は両親からマシューの死を聞いたと言っていたが、両親はジョンとは長らく音信不通だという。ジョンはマシューと直接連絡があったのに、そのことを隠していたのだ。ジョンこそが、4人目のターゲットだったのだ。プレンティスとモーガンはジョンの家に急行。儀式を行っていた神父を取り押さえ、ベッドに縛りつけられたジョンを無事に解放した。一方ホッチは、ロッシの助言を受け入れ、バチカンを通してイタリア政府に働きかけた。その結果、神父の外交ステータスは破棄され、彼はイタリアに強制送還された。

【格言】
「悪を罰しないものは、悪を行えと言っているのだ」ルネッサンスを代表する芸術家で発明家、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年4月15日-1519年5月2日)の言葉。
「私のために死んだ」
「この世で最も教会と相容れないのは、異端者でも哲学でもなく人間だ」
プレンティスとロッシが引用する格言は共にアイルランド出身の作家、詩人ジェームス・ジョイス(1882年2月2日-1941年1月13日)のもの。ジョイスは敬虔なカトリックの家庭で育ったが、16歳で教会と決別している。プレンティスが引用するのは「死者たち」(『ダブリン市民』所収)を原作とする映画『ザ・デッド』(ジョン・ヒューストン監督/1987年)のラストシーン。ヒロインのグレタが、17歳で死んでしまった恋人について語るセリフ。ロッシが引用した方は、ダブリンの医学校をやめ、パリに留学しようと思いたったジョイスが、同郷の劇作家のイザベラ・オーガスタ・グレゴリーに援助を求めて送った手紙の一文。医学校をやめたのは、学費滞納と成績不振が理由だったが、手紙の文面は壮絶かつ大仰で、「たとえ不信心者として国を追われたように見えようとも、僕ほど強い信仰心を持った人間に、僕ははいまだかつて出会ったことがありません」と結ばれる。
【ゲストスター】
ロッシの友人の神父を演じているのは、映画『いちご白書』の主人公サイモンや、ネズミ・パニック映画「ウィラード」の孤独な青年役で一躍スターとなったブルース・デイヴィソン。ポール・シルヴァーノ神父は、「CSI:NY」でマックと対立したNYPDの内部調査官スタントン・ジェラルド役のカーメン・アルジェンツィアノ。ジョン・クーリは「ザ・シールズ」のシェーン・ベンドレル役のウォルトン・ゴギンズ。マシューの父親は映画『ウォリアーズ』、『48時間』で悪役を演じたジェームズ・レマー。母親のロクサーヌ・ハートは「シカゴホープ」のアーロン・シャットの妻カミール役で、トーマス・ギブソンと共演している。
【プレンティスの告白】
外交官の母について各地を転々とし、少女時代は荒れていたプレンティス。これまでも母との確執が話題に出たが、今回は衝撃の告白。なんと15歳くらいの頃に、イタリアで中絶をしたというのだ。イタリアといえばカトリックの国。たとえ法的に中絶が認められようと、中絶は殺人に等しい罪なのだ。子供の父親はマシューじゃなければ、ジョンということかな。雨のバーに向かうプレンティスの表情の暗さ、ハグを拒否した理由はそれなのかも……。余談ですが、ロッシはその敬虔なイタリア系。「相手は宗教じゃない、悪なんだ」ってところ、それに「バチカンに直接訴えろ『イタリア政府にかけあって、カトリックを堕落させようとしている男を止めろ!』と」言えとホッチに詰め寄るシーンもかっこよかったですね。最近、ロッシの株が急上昇中です。そういえば、カトリックは離婚もよしとはしてませんね。
【エクソシスト】
ロッシとプレンティスがドライブしたのは、「メリーランド悪魔憑依」と呼ばれる出来事が起きた場所。1949年、当時14歳の少年が、霊媒師の叔母の死をきっかけに、悪魔に取り憑かれ、イエズス会士の神父によって悪魔祓いが執り行われた。後にこの出来事がモデルとなりウィリアム・ピーター・ブラッティが「エクソシスト」を執筆。映画化されて世界的大ヒット作となった。さて、ロッシの友人の神父が語る1999年のバチカンの改正といのは、「悪魔祓いとある種の嘆願について」と題さえた典礼の改訂版と、その数ヶ月後に運用ガイドラインが発行されたことを指す。これは映画以降、エクソシストへの需要の高まりに対して、歯止めをかけようとしての発行されたもので、精神疾患との誤認についての警告も記されてはいる。興味のある方は『バチカン・エクソシト』(トレイシー・ウィルキンソン/矢口誠訳/文春文庫)をどうぞ。悪魔祓いによる死亡事件の裁判を描いた映画「エミリー・ローズ」もお勧め。
【音楽】
雪の中、教会の前でプレンティスがたたずむラスト・シーン。ここでかかっているのは、HodgesのMy Side of the Storyという曲。暗闇の中で道を見失い、誰の助けもなく、打ちのめされた男の姿を歌い上げる。ハスキーで力のあるいい声ですよね。あまり知られていなかったシンガーらしく、放送終了後、アメリカのファンの間でも話題沸騰。曲はダウンロード販売のみだそうです。このシーンで、雪の中、プレンティスの鼻から血が流れるのが印象深いのですが、これは宗教的な啓示なのかなあ。よくわかりません。わからないので、かわりにプレンティスが見た映画『ザ・デッド』の最後のフレーズを引用しておきます。「雪は音もなく宇宙から降り注ぐ。この世の最後がくるまで。生けるものにも、死せる者にも……」

2010.4.28|エピソード・ガイド|コメント(12)トラックバック(0)

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コメント

ホッチはまだいる?の答えが「ここに住んでるから」って(笑)
離婚して心置きなく?仕事に没頭している姿が目に浮かびました。

ロッシとホッチがやり取りするシーンはこのドラマの好きなところです。ホント、ロッシかっこよかったなぁ。
前エピソードと合わせてみると、ホッチの政治力が上がったように思いました。

さて、ラストのエミリーの鼻血・・・どんな意味があるのかわかりませんでした。イエスが流した血ってこと?

それから「朝早くありがとう」とホッチが言っていたけど、時計が10時50分に見えたのですが・・・

それからそれから、リードの銃が少し前からリホルバーになっているけど、なにか理由があるのかな?

あと、ラストの曲いい曲でした。
クリミナル・マインドで使われた曲の中ではライフハウスのBROKENがいちばん好きなのですが、今回の曲もとてもよかったです。

投稿: ホッチKISS | 2010年4月28日 (水) 00時41分

今回はエミリーが主役でしたが、彼女にあんな過去があったとは。
最後のエミリーの鼻血、私も気になりました。宗教的なことかなぁ?と思いつつ、キリスト教徒ではない日本人には分からないのかもしれませんね。
ただ、モーガンが「神父は本気だった」といっていたので、本当に悪魔が憑依していたことの啓示だったのかも。。。

今回、エミリー・モーガン・リードが三人ならんで被害者宅を訪問するとき、なんだかすごくみんな格好よかったです。

投稿: march | 2010年4月28日 (水) 10時52分

エミリーの過去が…
子供の父親は…助けた彼だったのかなぁ!?
“悪魔払い”基督信者ではないので…よく解りませんが…確か=故ローマ法王は認めてましたよね。

投稿: Lead | 2010年4月29日 (木) 00時31分

今回は、メンバーの正義感溢れるシーンをたくさん見ることが出来たと思います。仲間意識がとても強くてあんな仲間逹と仕事をするのは夢ですね!!ロッシのエミリーをコーヒーやドライブに誘い捜査をする所に強さ、男気とエミリーの気持ちをさりげなく察する優しさを感じました!!あと…エミリーの最後の鼻血とっても気になりました。

投稿: プチJJ | 2010年4月30日 (金) 14時06分

エミリーの強さに改めて感動。過去に引きずられず今のエミリーがあるんだと今までのトッドへのフォローやプロファイルの仕方を考えさせられました。JJと仲良しですが、JJの出産、複雑だったと思います。こんな展開があるんだ!ロッシの講演でFBIに入局したJJの過去といい、CMはまるで玉手箱ですね!ますます目が離せません

投稿: kitilyou | 2010年5月 1日 (土) 11時11分

芯が強くて優しいエミリー、私も大好きです。
神父がモーガンに取り押さえられながらも最後に聖水を投げかけましたが、エミリーの鼻血はそのせいじゃないかと思いました。何かの薬物が混ざっていたとか?だからやっぱりマシューも殺意をもって殺された確信になるのかも?と。そうなるとエミリーが鼻血だけで済むのか心配ですが。
宗教的なことは分からないのでこんな風に推理してしまいました。

投稿: egg | 2010年5月 1日 (土) 14時57分

話がそれちゃいますが…クリミナルマインドのDVDって出てますか?私エルが辞めてから見始めたのでシリーズ1をしっかり見て無いんですよ…。wowowで放送する感じも無さそうだしm(__)m

投稿: プチJJ | 2010年5月 1日 (土) 18時58分

プチJJ様。
[Season1]DVD=発売されてますよ!!

投稿: Lead | 2010年5月 2日 (日) 08時11分

ありがとうございます!早速見に行ってきます(^o^)クリミナルマインドまだまだビギナーですが、かなりはまりました。とっても興味深いドラマですね。

投稿: プチJJ | 2010年5月 2日 (日) 11時44分

やっぱり意味するところがわからない、エミリーの鼻血。
もやもやする・・・。

”引っ越しがつらかった”と言うエミリーに、同じクリス・マンディ脚本のS2「殺人衝動」でエミリーがホッチから”信用できない”と疑われた時に”政治は家族を引き裂き人を傷つける”と言ったのを思い出しました。
今は信頼関係が築けているのでよかった!


キャラクターの過去とキリスト教というのでS2「多重人格」も思い出したのですが、こちらもクリス・マンディ脚本なのですね。薬物を持ち出すリード、S2「消えない傷跡」のエル、S3「BAUの危機」のギデオンとホッチ、S3「ペネロープ」と、クリス・マンディ脚本エピソードはキャラクターのその後が気になるものが多いですね。
そう思うと鼻血の意味も後でわかるのかな?
S1「マンハッタンの処刑人」もホッチとスナイパーどっちが撃ったんだろ?と見直したことがありましたが、今回のエピソードはやっぱりよくわかりませんでした。


欧米人ならわかるものなのかな?と思いましたが、IMDbユーザーの評価はあまり高くないのですね。

投稿: ホッチKISS | 2010年5月 3日 (月) 04時28分

悪魔祓いに馴染みが無くて理解するの事がなかなか難しいです…。今でもすっきりせず。書き込みにあった様にガルシアやリードが絡んでいた事件を思い出すと共通点が見つかって少し理解する為の糸口が見えた気がします!!

投稿: プチJJ | 2010年5月 4日 (火) 00時35分

ラストで流れている曲はHodgesの「My side of the Story」という曲です。CD化にはなっていませんがここで聞くことができます→http://www.youtube.com/watch?v=PUPwCiEoRVo

クリマイの第1シーズンは地上波で金曜日の深夜に放送が始まりましたのでそちらでいかがでしょうか。

投稿: mgg | 2010年5月 5日 (水) 23時00分

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