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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。

クリミナル・マインド

1月6日(火)S3#1 『ギデオンの決意』

Cr1 ■スプリー・キラー
惨劇の舞台はアリゾナ州の小規模な大学だった。
大学構内で4日間で3人の学生がナイフで刺し殺されたのだ。被害者は全てブルネットの女子大生。最初の犯行はともかく、警官が巡回するキャンパスの灯りのある場所で、警戒していたはずの女子大生が簡単に殺されてしまったのはなぜか。死体が仰向けで胸の前で手を組んでいたことから、犯人は被害者から信頼されていた大学関係者と分析。テーザー銃(スタンガンの一種)の跡から、容疑者はテーザーを装備している大学の警備員に絞りこまれた。やがて捜査線上に警備員のネイサン・タブスの名が浮上した。彼は全ての現場に駆けつけた警備員の一人で、数日前に娘の親権を失っており、係争中の妻はブルネットだった。

その頃、タブスは大学で警備車両でキャンパスを巡回し、一人で歩くブルネットの学生に声をかけていた。捜査陣が駆けつけタブスは拘留され、女子学生は無事に保護された。
■模倣犯か真犯人か
タブスは、ブルネットの女子学生が、いずれ妻と同じように夫を裏切り、娘を奪うという妄想に囚われ、他の誰かがひどい目にあわないで済むように殺した。殺害後は、被害者と娘を重ね、守ってやれなかったことを悔いて、両手を胸の前で組ませたのだ――。しかしギブスから指摘を受けても、タブスは犯行を全面否認しつづけ、それ以上追い込むことができない。さらに物的証拠に欠けるために、弁護士からの釈放要求を退けることが難しくなっていた。そんなとき、再び女子学生が殺害され、警察署に「彼は無実、私はここだ」という犯行声明が届けられた。確かに被害者はブルネットだったが、テーザーではなく鈍器で頭を殴られているうえに、ためらったような浅い傷も多く、胸の上で手も組まれていない。ギデオンは模倣犯の犯行であり、犯人はあくまでもタブスだと主張するが、結局彼の釈放に同意せざるをえなかった。
■私を殺して……
大学封鎖のため、学生が次々に退去する中、JJの元に、ひとりの女子学生がわざわざ髪を被害者と同じ色に染め、部屋の壁に事件の新聞記事を貼っているという情報がもたらされた。その学生アンナこそが模倣犯で、アンナとタブスは必ず接触するはずだ。モーガンとプレンティスはタブスを尾行し、ギデオンとホッチは防犯カメラの映像モニターを駆使して、二人の接触を待った。予想通りアンナがタブスを待ち伏せ、人気のない中庭に誘った。モニターを見つめるギデオンとホッチは、タブスがアンナを襲うか、殺人を告白するまで手を出さないようにとモーガンに指示する。
ところがアンナは思いがけない行動に出た。なんと彼女はナイフをタブスに差し出して、自分を殺してくれと頼んだ。自殺願望のあるアンナは、殺人鬼の手にかかって死にたかったのだ。「あなたのために殺したんだから」、だから私を殺してくれと泣きながら訴えるアンナ。しかし罠を警戒していたタブスは冷淡な態度をとった。その瞬間、なんとアンナは持っていたナイフでタブスを刺した。現場に飛びだすモーガンとプレンティス。しかしアンナは、彼らの制止の声を聞くことなく、自らの腹にもナイフを突き立てた。
こうして犯人と模倣犯、二人の被疑者死亡で事件は幕を下ろした。そして事件後、ホッチはストラウスから二週間の停職を言い渡された。
■ギデオンの苦悩
それは支払われるべき代償だったのか、死に値したのか――。
ギデオンは山小屋で自問自答をつづけながら手帳に手紙を書き続けていた。彼は模倣犯がタブスに接触することを予想していたのだ。承知の上でタブスを釈放したのは、幼子の中にライオンを解き放つ行為だったのではないか、友人のサラを殺されたことで自分の判断力が鈍っていたのではないか。
ギデオンの手紙はつづく。
プロフィラーには信念が必要だ。プロファイリングと己に対する信頼が。だがサラの死後、自分が信じられなくなり、タブスの死後、仕事への自信もなくなった。俺にはもう何も残っていない。最後の堰が切れた。あの少女の死と、俺のミスでホッチが停職になったこと。最初に書いた通り、ここに来るのはお前だとわかっていた。こんな説明しかできないですまない。俺にはもう何もわからないんだ。すまない。
封筒に宛名を記したギデオンは、蕭然とした面持ちで銃を手にした。

【スプリー・キラー】
スプリー・キラーとは、犯罪のインターバルが短い無差別連続・大量殺人者のこと。学校での大量殺人がスプリー・キラーによる事件の典型とされ、1966年のテキサスタワー乱射事件、1999年のコロンバイン高校銃乱射事件、2001年の附属池田小事件、2007年のヴァージニア工科大学銃乱射事件などが数えられる。実は本エピソード、第2シーズンに放送する予定で制作されたのだが、放送予定日(2007年の4月25日)の直前に33名(犯人を含む)が死亡したヴァージニア工科大銃乱射事件が発生したために放送を見送った経緯がある。
【冤罪】
モーガンは「爆弾犯のプロファイルに一致したが無実だったリチャード・ジュエルの例もある」と、タブスの拘留に疑問を投げかける。
リチャード・ジュエル氏は、アメリカにおけるマスコミ報道被害の象徴的な人物だ。事件が起きたのは1996年、アトランタ・オリンピックの最中。オリンピック公園に爆弾が仕掛けられ、2名の死者(心臓発作で死亡したカメラマンを含む)と、百名以上の負傷者を出した。このとき、警備員のジュエル氏が最初に爆弾を発見、直ちに観客を退去させた。当初は彼のおかげで被害が最小限に抑えられたとして、ジュエル氏は英雄扱いされたが、その後事態は一転。FBIがジュエル氏の事情聴衆をおこなったと地元紙が報道、それを受けて全国のメディアが一斉に彼が容疑者だと書き立てた。メディアによってジュエル氏の身辺は暴き立てられ、顔写真が全世界に流された。その後ジュエル氏の無実は照明され、真犯人も逮捕されたが、しかし彼の人生は報道によって破壊され、それは「無罪でした」の一言で回復できるものではなかった。ジュエル氏は2007年夏、44歳の若さでこの世を去った。
【シルヴィア・プラスの真似】
同級生たちがアンナのことをからかい半分になぞらえたシルヴィア・プラスとは、1963年に30歳の若さで自殺した、ボストン出身の女性詩人・作家。早熟な天才で8歳から詩作に入り、新聞や雑誌に詩や小説を発表した。強すぎる感受性に翻弄される少女を主人公にした自伝的小説『ベル・ジャー』は、少女版『ライ麦畑でつかまえて』として、今もアメリカで読み継がれている。クリスティン・ジェフズ監督が、2003年に『シルヴィア』という題名で、彼女の生涯を映画化。グウィネス・パルトローがシルヴィアを演じた。
【ギデオンに何が!】
過去に爆弾魔との対決で同僚をいっぺんに亡くすという悲劇に見舞われながらも、その後、仕事に復帰したギデオン。そんな彼も、殺人鬼フランクによって友人のサラを殺され、ついに精神的に追いつめられてしまったのか……。あの避難場所である山小屋で、意味深長なモノローグではじまり、そして最後には蕭然とした面持ちで銃を手にする。いったいギデオンはどうなってしまうのか? そしてストラウスから内通を迫られていたプレンティスは、事件の責任をとらされて停職になったホッチの今後は? 衝撃の第3シーズンのスタートです。いったいドラマの背景でなにが起きていたのか、アメリカ本国で流れたニュースなど大人の情報は第2話の放送後に。

2009.1. 7||コメント(2)トラックバック(0)

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コメント

まってました。
やっとシーズン3が始まって嬉しいです。
第1話は無料放送日にすでにチェック済みでしたが、もちろん昨日の放送もみました。
第1話放送後のモーガン役のシェマー・ムーアのインタビューよかったです。
やっとクリミナル・マインドでもキャストのインタビューをしてくれたんですね。
これから他のキャストのインタビューも楽しみです。

投稿: march | 2009年1月 7日 (水) 22時42分

シーズン3、ようやく始まりましたね。
それにしても、1話目から衝撃的な展開でしたね。
ギデオン・・・どうなってしまうのでしょう。
他のメンバーにも様々な事が起こる様だし、ますます目が離せなくなってきました。

投稿: SESAME | 2009年1月 9日 (金) 14時24分

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