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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


5月6日(火)S2#18 『ニューオーリンズの切り裂きジャック』

■死者からのメッセージ
 一年半前、ニューオーリンズで、3件の連続殺人が発生した。被害者はいずれも男性で、喉を切られ、内蔵を抜き出されるという残忍な手口で、さらに担当刑事のラモンテーン宛に犯人から犯行声明が届いた。ところが事件直後、街にカトリーナ台風が上陸、事件の捜査で避難が遅れたラモンテーン刑事は、窓から飛び込んできた大木に当たって死亡。さらに連続殺人もこの台風を機に途絶えたため、警察は、犯人も台風で死亡したものと考えていた。ところが昨夜、ニューオリンズの繁華街フレンチ・クォーターで、新たな被害者が報告された。被害者は過去の三件同様に刃物で喉を切られ、内蔵を抜かれていた。
 

父の後をついで捜査の指揮をとるラモンテーンの息子ビルは、BAUに捜査協力を依頼した。ところが困ったことに、カトリーナがもたらした洪水被害は警察署にも及び、被害者の遺体から検屍報告をはじめとする全ての捜査資料が失われ、唯一、瀕死のラモンテーン刑事が家の壁に刻んだ「ジョーンズ」という謎のメッセージだけが、犯人への手掛かりだった。

■切り裂きジャックを模倣した犯行
 犯行手口や、ラモンテーンに送った犯行声明を分析したリードは、100年前にロンドンで起きた「切り裂きジャック」事件を模倣していることに気づいた。ギデオンはそれを受け、犯人は医学的な訓練を受けた経験のある人物で、何らかの悲劇に遭ったために自分のアイデンティティを失い、切り裂きジャックの人格を纏ったとプロファイルする。さらに切り裂きジャックをキーワードに過去の犯罪データを調べたガルシアは、4ヶ月前、テキサスで同様に模倣事件が起きていることをつきとめた。テキサスは台風の後、ニューオリンズから多くの人が避難した場所だったのだ。
 テキサスで被害者のフィアンセから事情を聞いたモーガンは、被害者がいずれも男同士で酒を飲んでいる最中に仲間から離れ、人気のない場所に誘い込まれて、殺されていることを指摘。犯人は女だと断定した。
 さらに切り裂きジャックの犯行をなぞるように、同日に2件の殺人が発生し、やはりいずれの現場にもラモンテーン宛の犯行声明が残されていた。しかし声明文が犯行を誇るものではなく、事実を淡々と伝えている部分に着目した捜査陣は、犯人はラモンテーンを自分の理解者だと思っていると分析。彼が足を洗わせた娼婦や、レイプ事件から立ち直った女性などが候補となるが、生憎、ラモンテーン刑事の捜査資料もまた全て台風によって失われてしまっていた。

■ジョーンズとは……
 そのとき、被害者の腕に、フレンチ・クォーターにあるモンシェリというバーの入店スタンプが押されているのを見つけたビルは、そこがかつて「ジョーンズ」という名であったことを思い出した。父親が残した壁のメッセージはこの店の名前だったのだ。
 その後彼らは、マノネグラの時期にジョーンズで女性がレイプされ、ラモンテーン刑事が捜査に当たっていたことを知る。犯人が有力者の息子であったために、女性の言葉を信じて捜査しようとしたラモンテーン刑事は左遷され、レイプ事件は「迷惑行為」として片付けられていた。事件の被害者の名前はサラ・ダンリン。事件当時医大生だった彼女は、、レイプされた後に大学を中退していた。
 サラのクレジットカードが1時間前にホテルで使用された。ガルシアからの連絡を受けた捜査陣がホテルに急行すると、サラはいましも、ひとりの男の喉を切り裂こうとしているところだった。銃を向けられてもナイフをおろすどころか、彼らを挑発するサラ。そんな彼女にビルは、自分がラモンテーンの息子であること、父親が台風で死んだことを伝える。「親父を信じたんだろ。俺も信じて」「もう終わりにしよう」そう語りかけるビル。その言葉を聞いたサラはまるで憑きものが落ちたようにビルにすがり、泣き崩れた。

【格言】
「悲劇とは生きる者が知恵を得るための道具である。生きるための道しるべではない」
ロバート・ケネディ(1925年~1968年)の言葉。
 最初に聞いたときには、何を言っているのかよくわからなかった格言が、事件解決後には腑に落ちるようになる。そんな格言の謎解きも「クリミナル・マインド」の楽しみひとつだ。この格言、犯人のサラだけでなく、リードのトバイアス事件、ギデオンの爆弾事件などをも想起させる。しかしサラが受けた傷はあまりに深く、悲劇を知恵に変えることができずに精神を蝕まれてしまった。
 では果たしてリードは……。
 リードは、ニューオリンズのピアノマンで友人のイーサンを訪ねる。彼はラスベガス時代から何かにつけ張り合ってきた友人で、共にFBIに入局するが、なんとイーサンは研修初日にFBIをすっぱり辞めて、ジャズピアニストに転向してしまったのだ。彼はなぜFBIを辞めたのか。旧交をあたためるためだけではなく、リードはそれを確かめるために彼に会いに出かけたのだ。
「内面の葛藤が大きくて他人を分析できない」というのがリードの分析。イーサンを分析しての発言だが、これは同時にリードの今の状況でもある。対するイーサンの答えは「ジェフリー・ダーマーよりジャック・ダニエルの方が性に合っていた。どちらも正気を蝕むけどな」というもの。ジェフリー・ダーマーは「ミルウォーキーの食人鬼」と呼ばれた連続殺人犯のこと。軽口めかしてはいるが、殺人鬼に精神を蝕まれ、麻薬に逃げ込んでいるリードにこのイーサンの言葉は、けっこう重く響いたかも。そして事件解決後。イーサンのピアノを聞くリードの元にギデオンが現れる。苦しいのも、悩むのも当然のことであり、むしろこの仕事をやっていて悩みがなくなったとき、あるいは手が冷たさを感じなくなったとき、それが辞め時だと語るギデオン。悲劇を悲劇としてありのままに受け止め、それを知恵に変えてきたギデオンならではの言葉だ。そんなギデオンにリードはあらためて、自分にはこの仕事しかないのだと確信し、今後も仕事をつづける決意を語った。
 イーサンとギデオンと話し、やっとリードも立ち直りの切っ掛けを掴んだ様子。もうあの無邪気なリードには戻れないのかもしれないけど、ともかく良かったですね。

【カトリーナ台風】
 2005年8月に発生したハリケーンのカトリーナは上陸時の中心気圧920hpaという、アメリカ史上5指に入る巨大台風だ。日本でも屋根のとんだスーパードームの映像などが大きく報道されたので記憶に残っている人も多いのではなかろうか。8月25日にフロリダに上陸して7人の死者を出し、いったんメキシコ湾に抜けた後、8月29日ににルイジアナ州に再上陸。ルイジアナ州、ミシシッピ州に甚大な被害を及ぼした。中でもルイジアナ州のニューオリンズは、市の北にある湖の堤防が決壊し、市街地の8割が水没。多くの人命が失われた。

【ゲストスター】
 ビル・ラモンテーン・ジュニアを演じているのはジョシュ・スチュワート。1972年生まれで、舞台を中心に活躍してきた俳優。「サード・ウォッチ」第6シーズンでデイヴィスの新しい相棒として登場したブレンダン・フィニーを、コートニー・コックス主演の「Dirt(ダート)」では俳優ホルト・マクラレンを演じている。またイーサンを演じているリス・コイロは、「24」の新作にFBIエージェント役で出演予定だ。

2008.5. 6|エピソード・ガイド|コメント(6)トラックバック(0)

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コメント

よよよかったです!!!
リードが立ち直ってくれて!!!!
そうですね…無邪気なリードはもう帰ってこないのかな…。

投稿: あー | 2008年5月 6日 (火) 23時50分

なにはともあれ、リードよかったです。
さすがギデオン。旧友のイーサンもFBIに一度は入っただけあって、リードをちゃんと分析してましたね。
最近入ったプレンティス以外は見守ってる感じでしたね。
とりあえず、今後は安心して観れそうで、よかったです。
今回はJJの恋愛話?がありましたが、これってひょっとして今後も関係してくるんでしょうか?その辺も楽しみです。

投稿: march | 2008年5月 6日 (火) 23時59分

いいかたちで決着がついたようで、本当によかった。リードは、よい友人に恵まれ、よい同僚に恵まれ、ですね。強くなったリードに、更に期待してます!ただ、プレンティスがメンバーに、まだまだ、なじめないですねぇ。

投稿: KEITO | 2008年5月 7日 (水) 09時12分

クリミナルマインド毎週楽しみにしています!ブログ更新もありがとうございますっ。

以前から番組冒頭では、制作者名が「サードウォッチ」関係者がずら〜りで驚いていたのですが、ボスコやサリーが出てきてムフフだったので、今回フィニーが観られて嬉しかったです♪またしても父息子の役柄でしたね。

サードウォッチ打ち切りの際、新番組=クリミナルマインドへ出演契約でも取り付けていたんでしょうかネ!。

投稿: ふうか | 2008年5月 8日 (木) 01時17分

フィニーが出てきて私も楽しませてもらいました。
JJとどうなるんでしょうね~、以前リードの恋愛話もありましたが、それっきりって感じですしね、水面下で進行してるんでしょうか~。
リードはまだ今後を見てみないとって気分です。立ち直ったとは見てますが、以前と違うリードって。天然っぽい所が彼のいい所だし。それでもリードを好きでいられるんだろうな~。

投稿: Mirai | 2008年5月 8日 (木) 09時54分

日本語でどう表記されていたかはわかりませんが、ゲストスターはビルではなく、Williamなのでウィルです。

投稿: Sofia | 2016年2月26日 (金) 04時07分

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