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三村美衣
(みむらみい)

書評家。雑誌「活字倶楽部」、「SFマガジン」、産経新聞などで書評連載中。趣味は仕掛け絵本の蒐集。


2月19日(火)S2#7「消えた女子高生」

■死ぬ人間を選べ
 ペンシルヴァニア州ノースマーモン。地元高校のアメフト部が、州大会の決勝に進出を決め沸きたつ町から、3人の少女が姿を消した。女子サッカーチームに所属する親友のポリーとケリーとブルック。アメフト部の壮行会をパスして、父親が出張中のブルックの家で終末をすごそうとしていた彼女たちは、ブルックの家に侵入した人物に拉致され、牢獄のような場所に閉じこめられていた。さらに3人は、犯人から「ふたりは解放するが、ひとりはここで死ぬ。死ぬ人間を選べ」と非情の選択を迫られる。
 

 ところが、3人の少女が消えたというのに警察は、羽目をはずしているくらいに考え、捜査に本腰を入れようとはしない。そんな状況にしびれを切らしたポリーの母親は、友人の伝手を頼りJJを訪ねた。自分自身も女子サッカー部のキャプテンだったJJは、彼女たちにシンパシーを抱くと同時に、スポーツ奨学金で州立大への進学を決めたポリーが、奨学金をふいにするような軽率な行動をとるはずがないと考えた。事件性に確信を抱いた彼女は、所轄警察に連絡をとり、BAUへの協力要請を出させた。
 ポリーとケリーの二人は、自宅の留守電に「卒業旅行に出かける。金曜日に戻る」という内容の伝言を残しているが、メッセージは一字一句同じであり、まるで原稿を読まされているかのようだった。またそれ以降、携帯の電源はおとされているし、キャッシュカードも使用された形跡がない。行方不明になってから既に5日が経過しており、普通なら生存が危ぶまれるが、留守電に残された「金曜日」までにはあと2日ある。まだ間に合うかもしれない――ホッチとギデオンは協力要請を受けることに同意、チームはモースマーモンへと急行する。

■偽装工作
 犯人は少女たちの親が留守であることなど、彼女たちの身辺情報に詳しい人間であり、入念に計画をたてて犯行に及んでいる。殺すことが目的ではなく、金曜日、すなわち州大会決勝の日に何かを計画しているためだと予測される。今回の事件のような掠奪型誘拐犯は知的で我慢強く慎重であり、被害者、家族、警察を観察し、捜査協力を試みている可能性もある。また犯行の前に入念に巣を用意し、そこに被害者を監禁しているが、その場所を特定するのは極めて難しい。犯人の地元の人間で、教師や隣人など「まさかあの人が」というような人物であると推測される。
 現場検証によってブルックの家を見張れる場所から、大量のタバコの吸い殻が発見された。DNA鑑定から女子サッカー部の監督のものであり、さらに監督は未成年買春で逮捕された過去があることが判明する。しかし彼は、ポリーとブルックが留守電を吹き込んだ時間に、壮行会に出席していたことが確認され、放免される。その頃、ゴミ回収業者が町外れのモーテルで、少女たちのユニフォームを発見した。モーテルにはケリーの父親が偽名で宿泊していたことが判る。ホッチの追求に、彼は、自分がゲイの恋人とそのホテルで密会していたことを告白する。
 タバコもユニフォームも犯人による偽装工作だった。つまり犯人は監督の過去、チェンバースの性癖などを知っている人物であり、犯行そのものが犯人による報復行為なのだ。ギデオンは、一歩先を行く犯人の行動に不安を募らせた。

■少女たちの選択
 牢獄の中、風邪をひいていたブルックは目にみえて衰弱していった。それを見たケリーは、ブルックを選択して二人で逃げようとポリーに持ちかける。嫌がるポリーを説得したケリーは、犯人に一人を選んだことを伝える。ところが、その選択に対する犯人の回答は、2本のハンマーだった。
 一方、犯人は自分たちに恨みを持つ人物だと聞かされた両親たちは、、猜疑心から互いを罵り合うばかりだった。それこそが犯人の狙いだと、JJが彼らを一喝したまさにそのとき、ガルシアからブルックの携帯電話の電源が入ったとの報が届く。場所は警察署の目と鼻の先。慌てて外に駆け出した一同が目にしたのは、返り血を浴びた二人の少女の姿だった。
 二人はポリーとブルックだった。
「なにがあったにしろ、君は勇敢だった」ギデオンのそんな語りかけに、ブルックは重い口を開きはじめた。ハンマーが投げ込まれた後、ポリーを説得しようとするケリーを、ブルックが後ろから殴って殺したのだった。
 警察署長をはじめ、ケリーやブルックの父親がアメフト部の同期であることを知ったJJは、犯人も同じチームの人間に違いないと考え、警察署に飾られていたチーム写真をポリーに見せる。写真の中からポリーが指さしたのは、なんとモーテルでユニフォームを発見した清掃員マーカス・ヤンガーだった。ヤンガーは花形クォーターバックで、アメフトの名門校への進学も決まっていたが、決勝で膝を故障し、選手生命も大学進学の道も失った。ところがチームメイトは彼の不幸をまるで喜ぶかのように、後釜争いを繰り広げたのだ。長年にわたりそのことを恨み続けてきた彼は、輝かしい人生を棒に振った決勝の日に、元チームメートの娘たちを利用して復讐を果たしたのだ。

【格言】
「重要なのは誰が始めるかより、誰が決着をつけるかだ」
 ジョン・ウッデン(1910~)の言葉。UCLAのバスケットボールチームを率い、7年連続でNCAAで優勝させ、「ウェストウッドの魔術師」と讃えられるバスケットボールの伝説的な監督。
「自己を超越すべく人間が与えられる研究の選択はつくるか壊すか、愛するか憎むかである」
 エーリッヒ・フロム(1900~1980)の言葉。ユダヤ系ドイツ人の社会心理学、精神分析、哲学の研究者。『自由からの逃走』、『愛するということ』などの著作で知られる。
 今回の格言は、初のJJによる引用。エピソードも、マスコミ対策から現地警察との交渉や折衝など、BAUの事務方を一手に引き受ける彼女をフィーチャーした内容だ。帰りの飛行機の中で、プロファイラーになることを勧めるホッチと、それをやんわり断るJJの会話が楽しい。「消えない傷跡」では傷ついた女子学生を勇気づけ、「森の中の殺人鬼」では作り話でモーガンを見事にひっかけた彼女。率直な気持ちを語って相手の懐に飛び込み、茶目っ気で空気をなごまし、マスコミ相手には巧みな駆け引きを繰り広げる。天才じみた閃きのあるプロファイラーたちに比べると平凡だが、チームの中で一番強いのは、ひょっとしたら彼女かもしれませんね。

【アンデスで遭難したスポーツチーム】
 1972年10月、南米ウルグアイの学生ラグビーチームら45名を乗せた旅客機がアンデス山脈に墜落。雪山で食料が無く、死んだ仲間の肉を食べて命をつなぎ、72日後に16人が生還した。顛末は『生きてこそ』のタイトルで映画化されている。雪山の頂にたてられた十字架の映像に「アヴェマリア」の歌声が流れる、祈りの心に満ちたラストシーンが強く印象に残る。

【ジョン・ジャメルスキー】
 ニューヨーク州シラキュースで1988年に14歳の少女の誘拐を皮切りに、2003年の逮捕までに5人の女性を誘拐監禁。自宅の地下に地下室と複雑な構造の地下通路をつくっていた。

2008.2月.19|エピソード・ガイド|コメント(4)トラックバック(0)

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コメント

リード効果じゃなくてエルショックって奴で、なんだかなぁ・・・の、この2週間・・・彼女自身は勿論、チームの皆が重い澱を背負ってしまいましたよね。事件がひとつ解決しても、なんとも言えないやりきれなさが残ります。だからこそ「一人救えば世界を救ったも同じ」という言葉が胸にずしりと響きます。
リードの眼鏡姿もいいですよね可愛い(無理やり明るく終了します

投稿: まるちゃん | 2008年2月20日 (水) 19時36分

第2シーズンに入ってからJJが頼もしくなったなぁ。
髪型もアップにしたり、少しイメージチェンジ。
ホッチから花形であるプロファイラーへの道を勧められてもハッキリと断れるし。
その理由が今の自分の仕事に誇りを持ってるから・・・なんて、すごくカッコいいですよね。

投稿: TOM | 2008年2月21日 (木) 08時27分

>プロファイラーの誘いをやんわり断る。
ってか実はエルの二の舞になりたくなかっただけだったりと穿って見たりw

でも、内勤メインのガルシアはともかくJJは結構現場に参加しているので
もう少し活躍の場があっても良い気がします。
10話から新キャラが登場するけど華が少なすぎるし。

まあ、すべてはマーク・ゴードン次第ですけど・・

投稿: 御雷 | 2008年2月22日 (金) 00時50分

元々JJは広報係かなって思ってましたが、ファイリングの資料を集めたり、警察官への説明等々、全部JJがやってますね。密かにBAUの要な女性ですねホッチナーもスマイルになるし…

投稿: ゆぅ | 2008年2月23日 (土) 20時33分

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